高知県史(自治体史)とは?
高知県について伝え残されたさまざまな資料を調査し、本県の歴史を詳細に記したもの。郷土の歴史を知る、大切な手がかりだ。
9月に芸西村で実施した古文書調査の様子
地域の歴史調査が始まっています!
現存する歴史資料を 把握し私たちの歩みを 未来へ!
南海トラフ地震が起これば、高知県内の各地に眠る歴史資料にも、甚大な被害が生じることが懸念される。高知県の歴史を紐解く大切な情報が、失われてしまう恐れがあるのだ。
私たちが歩んできた歴史を将来に伝えていくため、今のうちに現存する歴史資料を把握し、記録することも、県史編さん室の重要な使命のひとつだ。その第一歩として、令和4年度は近世・近代・民俗という3分野の調査を開始。
近世部会では、7名の委員と監修者に加え、歴史を学ぶ京都大学の院生7名と高知県内の大学生4名が参加し、江戸時代に久重山村(現在の芸西村久重地区)の村役人を務めた山中家に伝わる古文書のうち、約250点の写真を撮影した。今後も各地で歴史資料の調査を続け、当時の社会や暮らしを解き明かしていく。
地域の歴史を探る 歴史資料調査隊!
歴史資料の調査には、写真撮影や「くずし字」の解読などの膨大な専門的作業が必要だ。そのすべてを編さん室だけで実施することは困難なため、県内の大学生を中心とした「歴史資料調査隊」を結成。高知城歴史博物館の協力による養成講座を受講した上で、編さん室のメンバーと力を合わせて歴史質料の撮影や解読を進めている。
現地調査に参加した高知大学の清水彩生さんは、「地域の歴史調査を経験して、将来は県史のような仕事に関わりたいです」と話す。同じく高知大学の田中愛海さんは「自分自身の勉強にもなって、まさに一挙両得です」とのこと。高知県の歴史を紡ぐ活動は、心強い若者たちの志も育んでいる。
高知大学 清水彩生さん(左) 田中愛海さん(右)
第三回 仁淀川町 池川総合支所
史料が語るもの語
県や市町村が発行してきた行政資料は、高知県史の近代編を編さんする上で最も基礎的な資料となるが、戦前の資料の多くは戦火や合併を経て散逸が進んでしまった。そんな貴重な資料が、仁淀川上流域の役場に奇跡的に残されていた。
1889年の高知県告示に掲載された陸軍士官候補生募集に関する通知
池川総合支所で貴重な行政資料を撮影する様子
仁淀ブルーの地にあったのは 戦争で失われた貴重な資料
合併前の旧市町村役場に残る行政資料などの調査を進めている、県史の近代部会。各地に貴重な資料があり、地域の歩みを私たちに教えてくれる。「旧池川町役場(現仁淀川町池川総合支所)」には、当時の池川町が作成した貴重な行政資料を始め、これまで現存が確認されていなかった号を含む、約300点の高知県公報類が所蔵されている。
今後、資料撮影やリスト作成といった地道で膨大な作業を続けていくなかで、昔も今も変わらない「仁淀ブルー」に彩られた地域の歴史と高知県の歩みが、克明に浮かび上がってくることだろう。
貴重な行政資料が確認された池川総合支所 (仁淀川町)