あきやま ひろみさん 〜 プライムトーク 〜

 あきやまひろみさんが手掛ける作品は、思わずくすっと笑ってしまうような愛くるしさと、作ることへの愛が感じられる物ばかり。作家活動を続けて約15年、少しずつ変わってきたこと、そして変わらないもの、魅力ある作品が生まれるワケとは。

ポリマークレイとの出会い 独学で作品作りに没頭

 裁縫好きだった母の影響で、中学生の頃からミシンを使っていろいろな物を作っていたという山﨑さん。1枚の生地をかたちにしていく作業が楽しくて、小物入れ、かばん、スカートなどいろいろな物が作れるようになってどんどんのめり込んでいった。そして高校卒業後の進路を考えるようになった時、ふと思い出したのは祖母の存在。実は山﨑さんの祖母はその昔、自分で着物を仕立てて着ていたそうで、よくその話を母から聞かされていたのだ。そして「私も着物を一から仕立てられるようになりたい」と和裁士の道へ進むことを決意。進学したのは京都にあった和裁の専修学校で、5年間にわたり京都の伝統ある「京仕立」に倣った基礎から応用までをみっちり勉強。また実践に重きを置いた学校だったこともあり、商品として購入された着物や、撮影で芸能人が着る着物などを手掛けることもあって、失敗が許されない経験を重ねることで腕を磨いていった。そして、一級和裁士をはじめとする在学中に必要とされる資格は全て取得して卒業。京都の着物を仕立てる会社で数年働いた後高知に戻り、ブライダル会社勤務を経て平成30年に独立した。 

 

個人であることの強みを生かして 自分にしかできない仕立てを

 ドイツ発祥の、樹脂で作られたクラフト用粘土「ポリマークレイ」。常温では硬化せず、オーブンで加熱することでプラスチック素材となり、軽くて強くて耐水性のある作品を作ることができる。そんなポリマークレイにあきやまさんが出会ったのは今から15年ほど前のこと。手芸屋さんで手に取った雑誌にポリマークレイで作られた海外の作品が多数掲載されており、その美しさに衝撃を受けた。「どれも見たことないような柄でしたが、金太郎あめのような技法で作られた物を組み合わせていることは分かりました。私も作ってみたいと強く思ったことを覚えています」。しかし、当時は高知はおろか四国でもポリマークレイを取り扱っている店は無く、東京の店に問い合わせてようやく手に入れたものの、今度は作り方が分からない。まだネットもそこまで普及していなかった時代ゆえに参考にできる動画なども無く、独学で作っては失敗を繰り返した。元々、子どもの頃から何かに夢中になったら時間を忘れるタイプ。ポリマークレイにもどっぷりハマり、仕事をしながら作品を作り続けて気付けば7年が過ぎていた。そして平成26年にはアトリエ兼ショップをオープンする。

周りの声から生まれる作品 そして新たなジャンルへの挑戦

サブ04-DSC_6185
あめ作りのための移動式小屋「キャンディキャビン」。手掛けたのは、高知最大級のマルシェ「village」の村長・山﨑早太さん。

 あきやまさんが手掛けるポリマークレイの作品は、その多くに組みあめの技法(金太郎あめのような技法)が取り入れられている。やわらかくなるまで練り込んだポリマークレイを伸ばしたり平らにしてパーツを作り、それらを組み合わせて絵柄や文字を表現。出来栄えは、切ってからのお楽しみだ。「何回作っても、出来上がりが思い通りになったことはありません。でも、切ってみないと分からないところが面白くて、今でも毎回驚かされています」。アトリエ兼ショップには、これまで手掛けてきた数え切れないほどの作品が所狭しと並んでいるが、中でも多いのが高知をテーマにした物。カツオ、文旦、鳴子、はりまや橋、皿鉢など、県民ゆかりの名物があきやま作品ならではの雰囲気を持ってアクセサリーやキーホルダーとなり、贈り物としてはもちろん自分用にもと、幅広い世代に大人気を集めている。「私の作品は、周りの方に頂く声から生まれる物が多いんです。できるだけ忠実に作る物と想像で作る物、雰囲気は変わりますがジャンルにこだわらず、楽しいと思う物、自分が好きと思う物を製作することを意識しています」。そんなあきやまさん、実は新たなジャンルの物作りに挑戦中。それは、これまで何千回とポリマークレイで実践してきた組みあめ技法を用いた、本物のあめ作りだ。

少しずつ変わってきたことと
これからも変わらない思い

 あめ作りスタートのきっかけになったのは、県外で組みあめ技法のあめ作りを間近に見たこと。「この感動をより多くの人に伝えたい」と平成31年1月から本格的に取り組むようになり、ポリマークレイとはまた異なる難しさに試行錯誤しながらあめ作りを続けている。そして令和2年12月にはあめ作りのための移動式の小屋「キャンディキャビン」を作ってもらい、これからはいろんな所へキャンディキャビンと共に出掛け、多くの人にあめ作りの実演を見てもらいたいという。「熱を入れない限り形や質が変わらないポリマークレイに比べて、あめは熱があるうちに作業をする時間との勝負。似て非なるものですが、切らないと出来が分からない面白さ、ワクワク感は同じです」。ポリマークレイに出会ってから作りたい物は少しずつ変わってきたが、変わらないこともある。それは「その時、その時、自分が一番良いと思う物を作っていく」というスタイル。今はポリマークレイとあめ作りに夢中だが、絵を描くこともずっと好きだし、将来小さな絵本を作りたいという夢もある。「これからも妥協せずに、周りの方々に引き出してもらいながら一緒に面白い物を作って楽しんでもらえたらいいなと思います」。


あきやまひ-サブ写真5
FM高知で毎週金曜放送中の番組「プライムトーク」に出演した際のスタジオの様子。あきやまさんの出演回は4月2日、9日の2週にわたってオンエア。