「ここにしかない」から目的地になる
四万十の山奥の道の駅
四万十川が静かに流れる山あいに、県内外から多くの人たちが訪れる道の駅が二つ。その魅力の出どころはいったいどこにあるのだろう。
地元のたからものに 出会うため 四万十の山奥へ!
雄大な四万十川が流れる山あいの風景に、溶け込むように佇んでいる「道の駅 四万十とおわ」と「道の駅 よって西土佐」。どちらも山奥にありながら、県内外からわざわざ人が訪れるほど人気の道の駅として知られている。その人気が生まれた背景には、四万十川や山奥という地域性を活用し、従来の道の駅のような「立ち寄る」というコンセプトではなく、「目的地」として駅づくりが進められてきたことが大きく影響している。
この地に最初の道の駅が誕生したのは平成19年。「四万十とおわ」は、四万十町十和(とおわ)地域の自然や食文化、特産品といった「地のものに出会える駅」として一躍話題に。とりわけ、地元の女性たちによる「十和おかみさん市」も協力する四季折々の手づくり料理のバイキングは行列ができるほど。訪れた人に「ここにしかない」を提供するスタイルは、後にオープンする「よって西土佐」にも影響を与えたという。
大人気の四万十流域バイキング!
「十和おかみさん市」の方々との連携で始まった「四万十とおわ」の人気バイキング。四万十流域の郷土料理を中心に20種類以上のメニューを味わえると、わざわざ訪れるお客さんが絶えない。
のどかな風景に佇む「四万十とおわ」。平成19年のオープンの際は、1日で当時の地元住民の総数に匹敵するおよそ3000人が訪れた。
道の駅の魅力は 地域と人から 生まれてくる
平成27年にオープンした「よって西土佐」は、「四万十とおわ」から車で15分ほどの距離ながら、十和とはまた違った、四万十市西土佐地域ならではの個性が感じられる場所。道の駅のコンセプトは「てんねん」。店内に採れたての野菜を載せた軽トラックが停まっていたり、あゆの塩焼きの実演販売が行われていたりと、活気があふれている。
「道の駅は地域のダイジェスト版であり、生活を発表する場です!」と話すのは、駅長の林さん。庭先の畑で育てた野菜や手づくりの工芸品が誰かに買われる喜びや、地元発のアイデアが成功する楽しさ。そういった、地元住民が道の駅を舞台に日々感じている活気こそ、そのまま道の駅の魅力になると言う。二つの道の駅に、地域のたからものが集まってくるのは、まさしくそんな思いがあるからこそ。わざわざ山奥まで足を運びたくなるのは、地元の皆さんから元気をもらえるからかもしれない。
川魚を塩焼きやフライで楽しめる「よって西土佐」の「鮎市場」は、元々四万十川漁協組合の鮎市場で働いていたという、駅長こだわりの場所。リーズナブルな地元価格も人気の理由だ。
もっと知りたい!おまけのとさぶし〜誌面には載らなかったこぼれ話〜
①道の駅 四万十とおわ
地域の味と想いを受け継いで
「道の駅 四万十とおわ」といえば、四万十流域の郷土料理が楽しめる「四万十流域バイキング」が人気。地元の「十和おかさみさん市」の方々が考案した20種類以上のメニューは、どれも素朴ながら深い味わいがあり、オープンから17年が経った今でもファンを増やし続けている。近年は少子高齢化が進む中で、道の駅のスタッフが、十和おかみさん市の方々から郷土料理の技術を継承。変わらぬ味を提供し続けている。
② 道の駅 よって西土佐
とってもお手頃価格な天然あゆ!
天然あゆの塩焼きが、300円(小サイズ)から気軽に楽しめる「道の駅 よって西土佐」。実はこちらの天然あゆ、現在、首都圏に出荷されている地域の特産品で、東京の高級和食店や料亭でも提供されているとのこと。高知と東京では提供価格に大きな差があることもあり、都市部から観光に訪れた人々の多くが、販売されている天然あゆのお手頃価格を見て驚くそうだ。