高知県史ができるまで〜 新しい県史編さんがはじまる

高知県史ができるまで

新しい県史編さんがはじまる

歴史研究者や学芸員が参加して、郷土の歴史を掘り起こす、高知県史編さんプロジェクト。 これから20年にわたって取り組まれる、壮大な道のりをのぞいてみよう。

県史をつくる STEP1

歴史資料
南国市の左右山公民館に保存されている歴史資料
高知に関する資料を徹底的に掘り起こす

 高知県内の公的機関に残されている資料はもちろん、日本全国の博物館や図書館で保存されているものまで、高知県に関するあらゆる資料の所在を調査する。個人宅にひっそりと眠っている資料から、誰も知らなかった高知県の姿が発見されるのもよくある話。県史編さん室では、広く情報を求めている。

県史をつくる STEP2

資料撮影の風景
資料撮影の風景
膨大な資料の目録づくり

 資料の情報があれば、実際に現地に足を運び、さまざまな歴史資料を撮影する。また、可能な限り撮影した資料の目録も作成する。近い将来に必ず起こるとされている南海トラフ地震に備えるためにも、どこにどんな資料が残されているのか、今回の調査でしっかりと把握していく。

県史をつくる STEP3

文書の調査
山中家文書(芸西村所蔵)を調査する近世部会委員
資料編に向けて選別を重ねる

 今回の県史編さん事業では、1巻あたりのボリュームがおよそ1000ページを数える資料編を、20数巻ほど刊行する予定。全巻では、なんと2万ページを超える膨大な分量になるが、それでも、高知県の歴史を物語る、ほんの一部にすぎない。県史を語るために欠かせない資料を厳選しなければならない。

県史をつくる STEP4

徳川家康の判物
徳川家康の判物 山内一豊宛
資料編の刊行からスタート

 ここまでの長い準備を経て、ようやく編集作業がスタート。古い歴史文書には、現代では使われていない字体や、解読が難しい「くずし字」が使われていることが多い。これらを資料編に収録するため、古い資料を現代の出版できる文字に置き換える「翻刻(ほんこく)」の作業が行われていく。 

県史をつくる STEP5

高知県史
昭和43年から53年にかけて刊行された前回の高知県史
いよいよ本編へ!高知県史をひもとく10巻

 資料調査を重ねて分かったことや、資料編を基礎にして、高知県の歴史を時代や分野ごとにひもといていく。高知県史の本編としては、10巻ほどの刊行を予定。それぞれの時代ごとに、高知県にどのような暮らしがあったのか。それには、どのような意味があったのか。今日の私たちにつながる高知県の歴史が描き出される。

高知県の歴史文化を 後世に伝えてゆく 壮大なプロジェクト

 坂本龍馬をはじめ、たくさんの有名人を輩出した高知県は、歴史文化に大きな強みがある。私たちが生きる郷土が歩んできた歴史、すなわち「高知県史」を知ることは、さまざまな発見や、新しいヒントを得る可能性が秘められている。  

 今回、新たに行われる県史編さん事業は、過去最大規模。およそ20年もの長い期間をかけて、まだ知られていない、高知県の歴史をひもといてゆく。さまざまな分野の第一線で活躍する歴史研究者や、県内のそれぞれの地域で歴史文化を受け継いできた県民の協力を募りながら、高知県の歴史を次世代に伝える大きなプロジェクト。その第一歩が、いま始まった。

Goal 令和22年度までに30数巻を刊行予定!

 20年の歳月をかけて刊行される『高知県史』を構成するのは、20数巻ほどの資料編と、10巻ほどの本編だ。古代・中世、近世、近代、現代という時代区分で展開されるほか、考古、民俗、文化財、自然という分野ごとの歴史も描き出される。