特集その2 うつぼ解体新書

イラスト:かわぞえうどう

もともと漁師料理は、ぶつ切りにして、口の中で骨を取るというワイルドな食べ方でした。
うつぼが市民権を得るとともに、骨切り、骨抜き、骨をきれいに取り除く捌き方が進化してきました。
うつぼのおいしさの秘密は、職人の腕に隠されていたのです。


【1】洗濯機で20分、よくすすぐ
水から出ても、氷の中でも、とにかく生命力が強いうつぼは、死んでも体からぬめりを出し続けます。金たわしでこするのは骨が折れる作業。そこで現れた秘密兵器は、洗濯機。尾びれを切ってからすすぐので血抜きの効果も。

 

 

【2】目打ちし、背から開き、背骨と内臓を取 り除く
うつぼの体の真ん中には、太い背骨! 背中に切り込みを入れて身を開くと、太い背骨が現れるので、刃を研ぎながら丁寧に捌く。

ギザギザの鋭い歯の奥には、エイリアンのような第2の顎が現れる。タコやエビ、貝類などを好むためか、顎だけでなく頬の筋肉も発達している。

 

 

 

【3】頭とひれを切りおとす
まるでタイやヒラメのような輝く白身が現れます。

【4】小骨の列に沿って切り込みを入れる
太い背骨以外に、背の皮と肉との間、さらに腹側には肛門から尾にかけて小骨がびっしりついています。見ただけではわからない、身に隠れている小骨に沿って切り込みを入れていく。

【5】小骨を薄〜く削ぎ切りする
身を裏返して、骨を肉と一緒に限界まで薄く削ぐ感じで切っていく。


身の中には、2cmくらいの小骨が100本以上並んでいる。まっすぐではないので、薄く削ぐのは至難の業!
小骨は厚い皮にピタッとくっついて肉との境目にあり、背骨やひれの骨とは完全に独立している。

【6】できあがり!
コラーゲンたっぷりの皮、旨味の詰まった頭、内臓の肝や腸まで、余すところなく食べられます。肉は熱を加えると、しっとりした鶏のささみや、皮つきのもも肉のような食感に。なので様々な料理に合うんです。

小さいうつぼは、食べられる部分が少ないし、味も劣るし、捌くのはこればぁめんどい。こんまいがを食うがは、※めっそようないぜよ。

土佐弁講座
めっそようない:あまりよくない

 

効能(諸説ある)
● タンパク質・鉄分・コラーゲン等を豊富に含んで栄養価が高い
● 視力改善へ有効
● 滋養強壮にいい
● 須崎では、産後の体力回復のため妊婦に食べさせたという逸話がある

足がないから無足類ウナギ目。でも、ウナギとも違うんです

ウナギ、アナゴ、ハモ ……ひれはすべてある
ウミヘビ(魚類)……尾びれがない
(無足類はすべて腹びれがない)

好物は?
タコが一番 エビや貝も大好き

獲物をスクリューしながら噛みちぎったり、体をリボン結びにして引きちぎったり、ワイルドな食べ方をします。

実は平和主義
獰猛(どうもう)に見えますが、普段は岩礁地帯の穴におとなしく隠れています。仲間同士でケンカすることもめったにありません。

生態はよくわかっていない
「のれそれ」状の数センチの幼生期から成体に育っていくらしい。成長すると1.5mくらいになり、その後は長さは変わらず、肉がついて太っていきます。2kgくらいになるのに20〜30年かかると言われ、須崎で獲れた最重量の8kgのうつぼは、80歳?!

いつから食べられていたの?
実は古代ローマの壁画にも描かれているうつぼ。南仏の高級食材でもあるのです! 皮が黄色い方がおいしいと言われています。