高知に春を運ぶ土佐山のお祭り

土佐山 嫁石梅まつり

●高知市土佐山中切嫁石 ●2月22日(土)〜3月15日(日)※予定
1991年、住民の交流を目的として始まり、2020年で30回目を迎える。香りの際立つ「鶯宿」や写真映えのする「白加賀」、「紅梅」など可愛らしい梅の花が美しく咲き誇る。

始まりは一人の 花咲かおじさん

 里山に咲く花や、生き物のさえずり…、巡りゆく季節のありのままの姿の美しさが、土佐山にはある。地元に暮らす人々は、そんな土佐山をこよなく愛し、山間集落にある少子高齢化、過疎化といった問題にも、明るく楽しく立ち向かっている。そんな土佐山地区で「土佐山嫁石梅まつり」が誕生したのは1991年のこと。嫁石地区の花咲かおじさんこと、森和雄さんが可憐で美しい梅を自宅の庭に植えたことをきっかけに、ご近所へと梅が増えていったのがことの始まり。当時は、花見をしながらご近所同士で宴を楽しみ地域を盛り上げることが目的だった。しかし、その宴は回を重ねるごとに来園者や賛同者を増やし、子ども会、そして婦人会へと、地域のコミュニティを広げ、村おこしを目的とした土佐山をあげての恒例行事へと発展。現在では毎年、約7000人を集める春祭りへと成長し、2020年で30回目を数える。一人ひとりの小さな力を合わせて祭りを成功させてきたことにより、いつしか村人達に「自分達でできることは何でもやってみよう」という想いが目覚め自然と意識改革できた。土佐山に暮らす人々にとって「梅まつり」は、地域の皆で力を合わせて大きくしてきた想いのこもったお祭りだ。

村の発展を託して

 「梅まつり実行委員会」の鎌倉さんと事務方である阿久津さんは、今後の展望についてこう語る。「令和2年に開催される祭りで30回目の区切りを迎えます。その間、オーベルジュ土佐山も誕生し、県内外問わず多くの人々に土佐山の素晴らしさを届けてきました。今後も祭りを通して更なる飛躍を目指し、世代を問わず楽しめる土佐山を創っていきたいですね」。2月には村人でチームを組んで庁舎や市内の商店街に梅の枝を持ってPRに行くというお2人、高知に春の訪れを告げる先遣隊となりそうだ。


雛人形が町を彩る春祭り

吉良川町並みひな祭り

●室戸市吉良川 ●2月29日(土)〜3月3日(火)
毎年桃の節句前、吉良川の住宅約80軒が雛飾りを行う風情溢れる春祭り。それぞれの家に伝わる雛人形を展示する他、雛行列や、竹雛作り、出店などの様々な催しで賑わいを見せる。

町並み保存のため 皆で飾った「雛人形」

 古来より木材の集積地として栄えた室戸市吉良川地区は、ウバメガシを使った良質の土佐備長炭を産出、その交易によって町は栄え活気に満ちた。町内にはそんな当時の様子が伺える商家や民家が建ち並ぶ。その多くが土佐漆喰や水切り瓦などを施した立派な建物で、今も尚その美しさを留め、1997年には国の重要伝統的建造物群保存地区として選定を受けた。この町並みを守るためにできることはないかと始まったのが、「NPO法人吉良川町並み保存会」が主催する「吉良川町並みひな祭り」だ。古民家に雛人形を飾るというユニークなお祭りを思いついた前会長の細木さんは、「あちこちに飾っている雛人形を見て歩くと、地区をくまなく知ってもらえるでしょ。それが目的なんです」と話す。街を闊歩して吉良川の良さに目を向けてもらうことが次世代に繋がる…、この祭りにはそんな希望が託されている。

今では吉良川自慢の 一大イベント

 地域に住む人々に開催の承諾を得て、一軒一軒呼びかけを行なった結果、1998年のスタート当初、3軒だった参加家屋も少しずつその数を増やし、今では約80軒。着飾った地元の子供達が町並みを歩く「雛行列」や、竹を使った「竹雛作り」のワークショップ、老人会で作る「つるし雛」、住民グループのグルメ販売など新しい取り組みも増えた。近年では、高知大学、高知工科大学、高知県立大学の学生有志が集まる地域活性化団体「Sun-fes」によるボランティアも加わり、その活動は町並み保存に留まらず、地区の観光資源と若年層の活躍の場として成長している。今や吉良川地区の枠を超え、安芸市、田野町、奈半利町、北川村、安田町、馬路村も巻き込み、「土佐の町家ひな祭り」へと成長。高知県東部に春を呼ぶ一大イベントとして盛り上がりを見せる。