信仰の山・鎮守の山としての歴史も深い梶ヶ森。弘法大師がおこもりをした定福寺の奥ノ院護摩堂や御影堂、 龍王の滝、真名井の滝など名所・史跡も多数存在する。県立自然公園に指定されており、景色だけではなく、珍しい植物や四国固有種の動物など、自然のままの生態系を目の当たりにすることができる美しい山である。
一刻一刻、時間の流れとともに表情が変化する えもいわれぬ絶景を届けてくれる神が宿る山
梶ヶ森は、標高約1400m。長岡郡大豊町の最高峰で一等三角点の山。剣山山系の西端に位置する独立峰で、山頂からは四国山脈を一望することができる。山頂までは、吉野川沿いから豊永の山道に入り、山頂まで徒歩で4〜5時間、車で30分程の道のりだ。いきいきと生い茂る樹木に囲まれた登山道は、きらめく陽光が所々差し、野鳥のさえずりが清々しい。標高が高くなるにつれて、空気の透明度が変わりゆくのを感じながら、8合目にある「山荘 梶ヶ森」をとりあえず目指す。山荘の広場に到着し周りを見渡すと、山頂以外に目線の高さを遮るものはない。青くて広い空がいつもより近く、空気は限りなくピュアだ。 そこで出迎えてくれたのは、同施設の運営に携わる松下さん。「ちょっとお洒落な山小屋」をコンセプトに、2017年にリニューアルオープンした「山荘 梶ヶ森」のスタッフとして、登山、ハイキング、キャンプ、星空・雲海観賞など山遊びをエスコートしてくれる。
山の特徴や自生する植物、動物について詳しく書かれたガイドマップの制作に携わるなど、この山の魅力を知るエキスパートの一人。 「夕日が沈む時間帯が私の一番のお気に入り。山際に太陽が隠れても残光が消えずに残り、南の空が赤からオレンジ色に染まる。条件のいい日は、しばらくするとえもいわれぬブルーになって本当に綺麗なんです。夜空の星も圧巻で、山荘の駐車場に寝っ転がると視界一面に星空が広がる。流れ星もよく流れます。また、野生動物を間近で見られるなど、ここにいるだけで自然を全身で感じ、リラックスした時間を過ごすことが出来ます」とその魅力を語れば尽きることはない。 ここは地球のスケールの大きさを肌で感じる、そんな場所。人の存在のちっぽけさを良い意味で見つめ直せる心地よい風景に出会える山だ。