四国カルストの麓、天狗高原へ向かう道中で、 四季折々の絶景を映し出す長沢の滝。 ハート型の滝口から流れ落ちることから別名「ハートの滝」と呼ばれ、 大小2つの滝が仲睦まじく寄り添う景観も相まって 「願いを込めると恋が叶う」という言い伝えを持つ。

四国カルストの大自然に抱かれた長沢の滝で 山頂と麓を繋げたいと意気込む一人の女性に出会った

四万十川上流、北川川に注ぐ長谷川渓谷の上流。愛媛県と高知県の県境にある長沢の滝は、高知県指定名勝・天然記念物。滝の落差は34m、滝壺は横15m、縦10m、水深2.8mで青々と水をたたえ、上空を覆う広葉樹林と滝周辺の巨岩、手前に架かる橋とが重なり合い、得も言われぬ絶景を映し出す。  そんな長沢の滝がある津野町郷地区に、津野町を元気にしようと奮闘する一人の女性がいる。「身近にありすぎて幼い頃はその価値に気付かなかったんですが、紅葉シーズンの長沢の滝はまるで一枚の絵画のようです」とその魅力を話す西村佐和さん。観光で地元を元気にしようと大学の観光学メジャーへ進学した後、(一社)高知県東部観光協議会での勤務を経て地元にUターン。現在は、津野町地域おこし協力隊で観光振興に従事している。


 津野町一番の観光スポットといえば天狗高原。その麓にあるのが長沢の滝だ。天狗高原にはシーズンともなれば国内外から多くの観光客やライダーが訪れるも、麓の観光資源はまだまだ知られていない。「津野町には天狗高原以外にも、長沢の滝周辺に魅力がたくさん。体験プランだけでも20種類以上もあるんですが知られていないんです。せっかく天狗高原まで来たなら、地域の人とも交流して帰って欲しい」。西村さんは、地域住民と、観光客をつなげることが津野町の観光振興につながると感じている。「美しい景色、おいしいグルメはどこにでもある。これからは人に会いに行くことが観光の目的になって、人にファンが付くことで津野町のファンが増えていくように思うんです」。これは彼女が地域の観光に携わり、地域の人と触れ合い、地域の人に教えてもらったこと。  天狗高原の山頂付近に建つ天狗荘は、来春プラネタリウムを備えたホテルへと大幅なリニューアルを遂げる。津野町にたくさんの観光客が訪れることが期待される今、「山頂と麓をつなげる」ことが西村さんの大きな使命だ。