大地が盛り上がり続ける場所で、 人々がどのように賢く暮らしてきたかをテーマに掲げる「室戸ユネスコ世界ジオパーク」。 ここを訪れると、地球のダイナミックな営みと、そこで過ごしてきた人々の暮らしぶりが垣間見られる。 世界的にも注目され、全国から訪れる観光客が後をたたない。

訪れるだけでは知り得ない隠れた見所が点在。 知ってこそわかるジオパークの魅力!

  「ジオパーク」とは地球や大地を表す「ジオ」と公園の「パーク」を組み合わせた言葉。大地の成り立ちやそこで暮らす人の営み、大地と人の共生について学べる場所を意味する。現在、世界で140地域、日本で9地域が「ユネスコ世界ジオパーク」に認定されており、室戸もその1つ。ジオパークと聞くと、地層や地質を想像する人が多いが、実は見どころは様々。現地でガイドを務める山本貴美子さんは、観光スポットのみならず、地元住民しか知り得ないような情報も伝えている。  


砂や泥が幾重にも積み重なることで形成されたタービダイトがそびえる「灌頂ヶ浜」は圧巻の眺めで、深海につもった砂や泥の地層が数千万年かけて隆起してつくられた景観。海岸近くで岩を抱くようにして根を生やした生命力溢れる「アコウの木」もその一つ。道中はまるでジャングルにいるかのような亜熱帯のムードに溢れ、遊歩道は神秘的。恋人の聖地にも登録されている30mの展望台の側に生えた木には、背中の模様が顔やハートマークに見える「オオキンカメムシ」が葉の裏にびっしり。その他にも、海岸に散らばった珊瑚のかけらや、見る場所によって表情が変わるという空海岩。ガイドがなければ、見過ごしてしまうようなスポットが多数点在している。 

「地元である室戸の良さを知って持ち帰ってほしい。試行錯誤しながらもたくさんの魅力を伝えている」と語る山本さん。観光客の増加に伴い、興味のポイントも広範囲に広がる中、その全てに対応するためガイドも日々勉強が欠かせない。ユネスコ世界ジオパークの認定には、4年に1度行われる審査に合格する必要があるのだが、今年はその審査の年。訪れた人にジオパークの魅力をしっかり伝えられているか、ガイドもその対象となるため、山本さんらも身が引き締まる思いだ。ツーリズムの場として活用しつつ、世界的な観光地として室戸の自然を守る人々の努力が、室戸ユネスコ世界ジオパークを支えている。