土佐に息づくさまざまな職人ワザ。
伝統の傍らに、 常に新しい展開があることも、 土佐らしい特徴の一つだ。
今回は、鉄道をテーマに、 土佐の業を探訪!
互いの信頼で繋ぐ安心の鉄道運行
運転士と車掌は、同じ列車に乗り込み、力を合わせて列車を安全に運行させるパートナー。野村さんと門脇さんもまた、土讃線をはじめ、JR四国管内の鉄道路線を共に走ってきた。
門脇さんは、国鉄時代から車掌一筋で40年以上の経験を持つ大ベテラン。その笑顔には乗客から親しみや感謝の声が寄せられるほどだが、「安全に関わる間違いは取り返しがつか ない」と、安全意識は揺るぎない。
そんな門脇さんに、「一緒に乗務する際は安心感を覚えますね」と話す野村さんも、普通列車から特急列車、はたまた観光列車まで、7種類もの車種を運転するベテランだ。「四国山地を走る土讃線は、カーブの多さはもちろん、シカやイノシシと衝突する鉄道獣害にも注意して運転しています」と教えてくれた。
乗務前に、運転士が確認する携帯時刻表。停車駅や時刻など注意すべきポイントが書き込まれているが、安全な運行にはさらに乗員同士のコミュニケーションが必要不可欠だ。
「列車が動いている限り、危険は常にありうる」と、徹底した安全意識を持っている。万が一に備え、あらゆる安全確認を欠かさない。
駅に到着しても、列車のドアは自動では開かない。車掌が安全確認を行い、さらに鍵を差し込んだ状態でなければ、ドアのボタンは作動しないのだ。
運転席で時刻を確認する際は、専用の懐中時計を使う。「運行が秒単位で刻まれる」という鉄道ならではのアイテムだ。
実は列車は、同じように見えても、車種ごとに運転の仕方が異なる。さまざまな車種を乗りこなす運転士の技術は、まさに経験に裏打ちされたもの。