土佐に息づくさまざまな職人ワザ。
伝統の傍らに、 常に新しい展開があることも、 土佐らしい特徴の一つだ。
今回は、鉄道をテーマに、 土佐の業を探訪!
列車と乗客を守る、駅長の仕事
平成14年の開業以来、毎日多くの人が行き来する安芸(あき)駅。ここで駅長を務めている中ノ内さんの業務は実にさまざま。窓口での切符販売、車掌の点呼、列車の入れ替え、連結・分割の作業、無人駅の管理、収入管理など、一人で何役もこなす働きぶりだ。
そんな多岐にわたる業務の中で、中ノ内さんが最も大切にしているのは、対象物を指差し、声を発して 安全確認する「指差喚呼(しさかんこ)」をはじめ、基本動作をきちんと実行すること。
決められたことをしっかり守り、作業に取り組むことこそが、列車の定刻での運行、そして乗客の安全に繋がると考える。「最終列車が安芸駅に帰ってきた時が、一日の中で一番ホッとします」。常に安全確保に努める駅長ならではの、実直な声を聞かせてくれた。
仕事において「欠かせないもの」と見せてくれたのは、列車運行図表。どの列車がどこの駅にいつ発着するのか、また、その停留時間や行き違いなど、列車の動きが一目で分かる。
車両の連結や分割など、列車の入れ替え作業には、より一層の安全性と集中力が求められる。
安芸駅では、手書きの乗車券を発行することも。年配の方や不慣れな方には、時間に余裕のある乗り換え列車を提案するなど、気配りも抜かりない。
観光列車のおもてなし活動も大事な仕事。駅員を筆頭に、市役所や観光協会の職員も集まり、皆で大きく手を振ってお見送り。
平成14年7月の開業時には、オープンデッキで運行する列車の車掌を担当。身動きが取れないほど、多くの人が訪れたという。