土佐の伝統と幼い記憶を大切に フラフに夢を乗せて

端午の節句にこいのぼりと並んで、五月晴れの空にはためくフラフ。 土佐伝統文化として、代々、受け継がれたフラフ作りを行う職人を訪ねた。
空になびく
大きなフラフを未来に
【ハチロー染工場】
とりわけフラフの文化が根強い、香長平野。物部川の豊かな水を利用できたため、かつては染物屋もたくさんあり、土佐湾から吹いてくる強い風を受けて大空でダイナミックにはためくよう、巨大なフラフが作られてきた。
ハチロー染工場の三代目・三谷隆博さんにもまた、祖父から大きなフラフを贈ってもらった思い出がある。「長辺で7mはありましたね。
他にも近所の家や親戚筋から、何枚もフラフをもらって。この辺りでは、そんなふうにフラフを贈り合っていたものです。
節句の時季は、そこかしこでフラフがなびいていましたね」。ハチロー染工場の特徴は、極彩色の色使い。赤の隣には黒など、鮮やかでメリハリがある原色の世界を描き、そこで桃太郎や金太郎といった豪快なモチーフが踊る。
「父からは、こじんまりした染めにならないよう、大胆に、と学びました。フラフは元気を与えてくれます。フラフを見上げて、上を向いていきましょう」と話してくれた。