今回のテーマは、高知県の昔の学校。 県内屈指の歴史を誇る、県立高知追手前高校を舞台に、 70年前の学校生活を知る大先輩から、 現在の高校生が受け取るメッセージとは?
学制150年の節目、学校生活をきっかけに
当時の暮らしに触れる。
明治5年(1872年)に、日本で最初の全国規模の近代教育法令である「学制」が公布されてから、今年の9月4日で、ちょうど150年。高知県立公文書館でも、企画展「学校資料から見える世界」が開催されるなど、昔の学校の様子を振り返る取り組みが盛んになっている。
どこか懐かしくも、今では驚くような発見にあふれた、昔の学校の世界。今を生きる若者が、当時の学校生活を知ることは、地域の暮らしを未来に引き継いでいくきっかけにもなることだろう。
そこで今回は、高知県の学校の歴史にも詳しい、「土佐史談会」の会長、宅間一之さんをお迎えして、県立高知追手前高校新聞部の二人が、インタビューを敢行。同校の歴史が息づく、校友会の展示室にて、「学校の今と昔」をテーマに、いろいろなお話を聞かせてもらった。
70年前の大先輩が 在校生に語る、
古いアルバムの記憶。
実は高知追手前高校は、宅間さんの母校。昭和28年に卒業したというから、新聞部の二人にとっては、同じ校舎で青春を過ごした、70年前の大先輩!
緊張しながらも話を聞けば「戦争中に受けた機銃掃射の跡が、校舎のいたるところに残っていた」「教科書も、当時ようやく製本され始めたばかりだった」等、驚きの事実の連続だ。
宅間さんが持参した手作りのアルバムには、当時の写真部の同級生と撮影した、思い出の白黒写真がぎっしり。当時の生徒が浮かべる今の生徒と変わらない笑顔には、新聞部の二人も時を超えた親近感を感じていた。
宅間さんが持参した自作のアルバムには、当時の学校行事の様子をはじめ、昔の流行や服装など、貴重な写真の数々が収められている。
歴史を振り返る、 自由の精神という
バトンが手渡される。
「当時の学校にあふれていたのは『ないものは作る』という自由の精神だったね」。宅間さんの青春を彩った部活動や学校行事の多くは、生徒の手で生まれたもの。
戦後の民主主義の高まりが、当時の若者に自らチャレンジする空気を与え、その経験は、宅間さんのその後の人生にも大きな影響を与えた。
その後も、今と昔の学校についてたくさんの話を聞いた、新聞部の二人。「多様化が進む現代の生徒にこそ、昔の学校にあった自由の精神を受け継いでほしい」と宅間さん。当時の学校を振り返ることで、熱い思いのバトンが手渡されたようだった。
同校には古い学校資料が多数保存されている。