使う人に寄り添う生活刃物の伝統
高知県四万十町の「黒鳥鍛造工場」の創業は、明治時代の初頭。150年以上も続く、土佐打刃物の老舗鍛冶屋だ。手がける刃物は、農具や林業刃物など、暮らしに欠かせないものが中心。自身で六代目となる梶原弘資さんは、刃物を使う人に寄り添うため、「安く・早く・上手く」という先代の教えを守りながら、相手が理想とする形を 実現する鍛冶師だ。
「時代が変わるにつれて、新しい技術や素材が登場しますが、大事なことは、刃物を使う人にとって愛着が湧くようなものを作ること。使う人に寄り添う、黒鳥鍛造工場の伝統を守っていきたいと思います」と梶原さん。土佐打刃物の業界全体を見据えながら、これからも挑戦は続く。
砥石などの研ぎ道具をはじめ、黒鳥直伝の知恵まで授けてくれる砥石セット。「家庭でも簡単に研いでもらい、刃物を長く使ってもらいたい」という思いを込めて開発したという。
アウトドアが好きな友人から相談を受けて制作した、「ブッチャーナイフ」。薪を割ったり、野外での調理にも役立つ。
刃に市松模様や桜といった和柄のデザインを施した包丁。錆びにくいステンレス製で、手入れもしやすい。
平成26年に誕生した、工房併設のショップ。実際に刃物を手に取って、相談しながら選ぶことができる。
before
after
店頭では梶原さん自ら修理や研ぎ直しの相談に乗ることも。研ぎ方のレクチャーなど、アフターサービスもしている。