まんが好きが集まり、交流活動を行う「まんがサークル」。 中心部から遠く離れた街にも、まんが愛あふれるコミュニティがある。
田舎町のまんがサークル プロの漫画家も応援
清流・四万十川が流れる高知県幡多地域。高知市内から車でおよそ2時間の距離にあるこの地域にも、まんが好きが集うまんがサークルがある。「四万十漫画倶楽部」、通称「しまくら」だ。
現在は老若男女およそ20名が所属しており、まんがを通じた交流をはじめ、プロの漫画家のサポートまで実施している。
代表の天野さんが「しまくら」を発足させたのは、平成27年の「しまんと漫博」がきっかけ。この時、ゲストとして訪れていた地元出身のまんが家、安倍夜郎先生と井上淳哉先生に、「地元でまんがやイラストを描きたい人に、画材に触れる機会や描き方を教えてあげられないか」という思いを伝えたところ、心強い賛同を得られたのだ。
四万十から目指せ! プロの漫画家!
「しまくら」に所属するのは、小学生から60代までの部員たち。職業もさまざまだ。「まんがを描く楽しさはもちろん、人に見てもらえる喜びも知ってほしい」という思いから、地元の天神橋商店街に設けた部室でまんが講座を開いたり、部員たちの作品をまとめたまんが冊子の発行や展示会などを行う。
本気でプロの漫画家を目指す部員の作品は、安倍先生と井上先生にも送り、アドバイスなどをもらう。近年では、地元企業や市役所から仕事を依頼されることもあり、「まんがを通して地元の活性化にも貢献したい」と語ってくれた。
倶楽部誌の発行をはじめ、天神橋商店街の観光マップや、「幡多妖怪地図」といった地元の紹介パンフレットを手がけている。展示会や同人誌の即売会などにも参加している。
まんが講座では、基本的な作画技術や画材の使い方を指導。不定期で、安倍先生と井上先生による講座も行っている。
歴史を刻むまんがグループ
「高知漫画集団」と「くじらの会」
高知を代表するまんがグループといえば、自由奔放な「いごっそう精神」を持つ「高知漫画集団」と、まんがと酒を愛する個性派集団を掲げる「高知漫画グループくじらの会」だ。地元新聞紙や雑誌への投稿をきっかけに集い、スタイルは違えど、ともに昭和50年代から地域に根差した活動を展開。
まんがの裾野を広げようと、似顔絵活動や子どもまんが教室を開催しており、合同作品展も好評だ。歴史を刻むまんがグループの存在は、高知のまんが文化の分厚さを実感させてくれる。