たくさんある種類の中から
使い分けるのが高知流！
高知では昔から、さまざまな魚の稚魚がだしじゃことして使われてきた。その産地として有名なのは須崎市と宿毛市。須崎市では2隻の漁船で袋状になった網を引いて、狙った魚を根こそぎ取る「ばっち網漁法」、宿毛市では灯りや撒き餌によって魚を誘導して綱を引き上げてすくい取る「巾着網（きんちゃくあみ）漁法」と、2つの市では漁法が異なる。
「宿毛沖では昔からばっち網漁法が禁止されていたこともあり、漁師は皆このスタイル。いろんな種類が取れるので選別の大変さはありますが、傷が少なく見た目が良いのが特徴です」と話すのは宿毛市、中野海産の三代目・中野昌人さん。宿毛で作られる煮干しは種類が多いのが特徴で、それも巾着網漁法によるものだ。
そもそも煮干しは、イワシがメジャーとされるものの、細かくいえば平子（ひらご）、ホタレ、マイリ、タレなどに分かれ、また、サバ、ウルメ、カマスといった、身を食べる印象の強い魚も稚魚がたくさん取れるのでだしじゃことなる。そして宿毛名物キビナゴも、ここでは煮干しにするのが一般的だ。
「キビナゴは独特の風味がある特徴的なだしがとれるのですが、特に四万十市で人気があって、タケノコの時期になると本当によく出ます。でもタケノコには絶対アジじゃないといかんという人もいたり…。地域性というよりは、いろいろある種類の中から家庭によって好みのものを使い分けている印象ですね」。限られた方法で漁をし、そこで取れたいろんな種類の魚を加工して売る。当時の人たちの知恵により産業は発展し、今でも高知のだし文化の一翼を担っている。
高知では広く使われる定番の煮干し。うま味たっぷりのだしがとれて、そのままでも食べられるおいしさ。スッキリとした味わいで、上品なコクと甘味があり臭みがない。
スッキリとした味わいで、上品なコクと甘味があり臭みがない。
苦味が少なくコクとうま味がある。頭やはらわたを取らなくてもおいしいだしがとれる。
身が引き締まっていて脂肪が少ないため、低カロリーであっさりとしただしが特徴。
イノシン酸とグルタミン酸が含まれているため、単体でも料理の風味が一段と増す。
クセが少なくコクがあり、吸い物仕立てのうどん麺つゆなどに使われる。
あっさりした中にうま味がありおでんや煮物にぴったり。そのまま食べてもおいしい。
淡い色合いで独特の風味と甘味の強い味わいが特徴。宿毛市の特産品。