いろんな魚の稚魚を
だしじゃことして高知では使ってきました
「高知で昔から日常的に使われてきたのはじゃこ。そしてお正月など特別な日になればカツオと昆布でしたね」。そう教えてくれたのは、土佐の食文化に精通している三谷英子さん。じゃこといってもさまざまあるが、県内で一番広く使われてきたのはイワシとアジ、そして他にも地域によって取れたいろんな魚の稚魚が「だしじゃこ」として各家庭で使われてきた。
「高知は海に面してますから、昔からたくさんの魚が取れたでしょう。漁師町ではそれらをそのまま湯がいてだしをとる沸かし汁というものもあったそうですが、煮干しになったことで日持ちするようになり、沿岸部から山間部まで広く使われたんでしょうね」。
昔は「捨てるのがもったいない」と丸ごとゆでられていた煮干しも、今では味をよくするために頭とはらわたを取り除くのが一般的になった。そのちょっとした手間も現代の人は煩わしく思うのではないかと三谷さんは言う。「煮干しは一晩水につけておけば翌朝煮るだけでだしがとれます。今では便利な商品もたくさん出ていますから、だしをとる=面倒と思わず、高知の伝統食はもちろん、日常の食生活にも欠かせないだしが、若い人にも馴染みのあるものとして続いていってほしいですね」。