田舎のおじいちゃん・おばあちゃんが 高知人のセンセイ
自然の中で遊んだり、仕事を手伝ったりと、田舎での体験はある意味非日常的で、これがこどもをぐんと成長させる。さまざまな経験が、高知人の心を豊かにする。
遊びや仕事の手伝いを通して 成長するこどもの姿
こども時代の夏休み、田舎のおじいちゃんおばあちゃんの家に遊びに行ったことがある人は多いはず。そこでこどもたちはどんな遊びや経験をしているのだろう。 訪ねたのは、高知県東部にある馬路(うまじ)村。かつては林業で栄え、現在はユズの産地として全国的に知られている。夏場は、村の中心を流れる安田川で鮎釣りに励む釣り人や、川遊びを楽しむこどもたち、そして温泉に入ったり森林鉄道に乗る観光客など、村内外の人で活気づく。今回話を聞いたのは、村の台所的存在である「フードショップきよおか」を営む清岡さん。こどもや孫が帰省すれば一緒に川で遊んだり、キャッチボールをしたり、料理を作ったりと忙しく過ごす。「うちは店をやりゆうき、孫が店の仕事を手伝ってくれてうんと助かるがです。この前の夏祭りではお寿司を200個ばあ作ってくれて、大事な戦力になっちゅう!」とニカッと笑う。遊びも店の手伝いも「見て学べ」のスタイルで、必要な時にだけ助言をするのが清岡家流。孫の妃里(きらり)さんは「手伝ううちに自然と覚えるし、店のレジ打ちは楽しくて好きです」と言う。「遊ぶ」以外に「仕事を手伝う」ということがここでは当たり前になっていて、それもこどもの成長につながっている。 豊かな自然、おいしい料理、笑顔で迎えてくれるおじいちゃんおばあちゃんの存在、帰る故郷がある安心感…。高知の田舎にある、そんな一つひとつの要素と、そこで遊び、学んだ経験が、高知人のルーツにもなっている。 自然の中で遊んだり、仕事を手伝ったりと、田舎での体験はある意味非日常的で、これがこどもをグンと成長させる。さまざまな経験が、高知人の心を豊かにする。
みんなに見守られて育つ 「村の宝」であるこどもたち
いつか地元の農協で働きたい」こどもの時から抱いていた思いを叶え、令和6年の春から「馬路村農協」の営農購買課で働き始めた笹岡晟(ささおかじょう)さん。小学生の頃、馬路村農協の飲料製品「ごっくん馬路村」をPRするCMに出演していた「初代ごっくん坊や」として、村では知られた存在である。自身のこども時代の思い出を尋ねると「村では、外で遊んでいると必ず声をかけられるし、こどもから大人に話しかけるのも普通のことでした。村のみんなが仲良くて、常に誰かに見守られている感じがして、今でも一番安心できる場所です」と話す。「これからもずっとこの村で暮らします」と真っ直ぐ語るその姿から、みんなに育てられたからこそ育まれた、ゆるぎない「地元愛」が感じられた。