地元(ホーム)で宿題をしよう!

地元(ホーム)で宿題をしよう!

 その地域にある自然や、その土地で生まれた偉人にちなんだ「地元ならではの宿題」が、改めて自分たちが住む場所を知るきっかけとなり、人と人をつなぐ役割も果たしていた。

植物画に取り組み 興味関心のきっかけに 佐川町

 絵の上手い下手は関係ない。よく観察し、特徴を捉えることができているかどうかが重要視される。各校から選び抜かれて集まった約180作品が展示され、その中から優秀賞及び優良賞を表彰する。植物画の審査をするのは、美術ではなく理科の先生。

佐川町-植物画-2

佐川町-植物画-1

じっくり 観察することで 育まれる探究心

 
 植物学者、牧野富太郎博士の故郷、佐川町の小中学校では、植物画を描く宿題が出される。こどもたちは、夏休み中に植物を探し、小学生は絵の具や色鉛筆、中学生は鉛筆などを使って植物を描く。実際に植物を手に取って観察したり、撮影した写真を見たりと描き方はそれぞれだが、目指すのは葉脈や花弁など細かいところまで表現された、牧野博士が描くような植物画。身近にある植物に目を向け興味関心を持つことは改めて地元を知ることにつながり、また植物をじっくり観察することで探究心も育まれる。  各学校で選び抜かれた作品は、同町の文化会館「桜座」で行われる「牧野賞科学展・科学研究発表会」で展示される。植物画は正確性が求められる一方で、同じ植物でも人によって捉え方が異なり、写真と違った魅力がある。スミレやアサガオ、ヒマワリにツユクサなど、個性が光る作品が今年も桜座に並ぶのを、多くの町民が楽しみにしている。

ふるさとを描いた石で ランナーと交流 四万十市

やまもも-お母さん、褒めてや

10センチ四方でなるべく薄い石を探し、絵の具やポスターカラーで絵を描き、ニスを塗って仕上げる。今年は中村地域の小中学校を中心に、全19校に協力してもらい、約2500個の作品が集まる予定。マラソンコースにちなんで沈下橋の絵が多い印象。

四万十宿題-石の画像

四万十ならではの良いトコロを宿題を通じて再発見!

 四万十市の小中学校では夏休みの宿題に「四万十川で拾った石に絵を描く」というものがある。毎年10月に行われる「四万十川ウルトラマラソン」のランナーへ、四万十市ならではのものを記念に渡そうと、今から30年前に始まった取り組みで、石には沈下橋や四万十川の生き物などが描か れる。裏面に学校名と名前を書いたり、「来年も来てね」とメッセージを書く子もいたりと、ランナーと地元のこどもたちが交流する機会にもなっていた。ランナーにとっては唯一無二のお土産になり、こどもたちにとっては改めて地元の魅力に気づくきっかけとなって、1人で何個も描くほど夢 中になる子もいたのだそう。 ここ数年は休止していたものの、「またやってほしい」というランナーからの声も多数あり復活が決定。今年は石ではなく、四万十市と四万十町の特産品「四万十ヒノキ」の端材にこどもたちが絵を描き、5年ぶりにランナーの手に渡る予定だ。

四万十市-石を選ぶランナーの画像
石を選ぶランナー
コラム 素晴らしい夏休み教材があった! 懐かしい「夏のこども」

なつのこども-画像


 昭和から平成にかけて発行されていた「夏のこども」は、高知県内の小学生を対象に、地元の先生たちが制作していたオリジナル教材だ。算数や国語、社会といった一般教科の宿題はもちろん、作文や自由研究などの手引きもあり、学年ごとに制作されるこの一冊で、夏休みの自宅学習を支えていたという。当時、発行に携わっていた野中美宏(のなかよしひろ)さんは、「制作には100人くらいの先生が関わっていましたね。『高知のこどもたちが長い夏休みを有意義に過ごせるように』と、学習課題だけでなく、こどもが描いた夏休みの絵や詩も載せていました。『こんな夏を過ごしてみて』という、地元の先生からこどもたちへのメッセージでもありましたね」と話してくれた。