旬はわずか2週間 幻の果実「ヤマモモ」

高知県の県花「ヤマモモ」。

その実は、口に入れるとジュワッとあふれ出す非常に個性的な甘酸っぱさが印象的で、高知県民にとってはその甘酸っぱさこそが郷愁を誘う味。

とさぶし47-ヤマモモ①

訪ねたのは、南国市十市(とおち)でヤマモモ栽培を手がける土居さんの農園。

約5反(1反(たん)=300坪(つぼ))の敷地に育つ130本を超えるヤマモモの木は、今から45年前に土居さんが種から育て、接(つ)ぎ木しながらコツコツ増やしていったもの。ここ十市では、江戸時代後期に見つかったヤマモモの古木が原木となって広まり、現在の「亀蔵」ブランドのヤマモモとなった。

とさぶし47-ヤマモモ③
土居さんの農園では収穫時期の6月にその「亀蔵」をはじめ、「中山」、「西村二号」と呼ばれるそれぞれの木が、赤い実をびっしりと実らせる。

「今は出せるばあを良心市に出して、後は知り合いを呼んで好きに採ってもらいゆう」と土居さん。ここ数年は山に上がるのも一苦労となったそうだが、今年から次女の加奈さんが手伝いを始めた。

「私も小さい頃から父のヤマモモを食べてきましたし、毎年地域の学校や保育園の子どもたちを招待して収穫体験をしてもらっているんです。父が大切にしてきた地域の文化を、これからは私が引き継いでつないでいきたいと思います」  

とさぶし47-ヤマモモ④

十市小の児童による収穫体験。「いっぱいなっちゅう!」「おいしい〜」「こんなに採れた!」農園が元気な声に包まれた。

とさぶし47-ヤマモモ⑤

実がつくまでに15~20年もかかるヤマモモ。収穫しやすいようにと、低めに剪定された木が多い。

とさぶし47-ヤマモモ⑥

ヤマモモの収穫時期は雨の多い6月のわずか2週間。傷むのが早いため、店頭に並ぶことも少ない。

・買える場所:南国市十市の良心市(無人販売所のこと)
・おすすめの食べ方:そのまま食べるのが一番おいしい