高知のお菓子界を支える あんこ屋さん

高知のお菓子界を支える あんこ屋さん

お遍路さんのパワーフードのひとつ、 あんこを作る製餡所を訪ねてみた。

宮崎製餡所

高知のお菓子界を支える2つの製餡所

あんこの製造・加工をする、製餡(せいあん)所が高知にもあることをご存知だろうか。和菓子をはじめ、パンや洋菓子にも使われるあんこは、各店それぞれで作っているところがある一方で、製餡所が作ったものを仕入れて使っている店も多い。上戸(※)が多い高 知県は、昔から他県に比べると和菓子の文化がそこまで盛んではなかったと言われているが、それでもかつて県内には複数の製餡所があり、地域のお菓子屋さんを支えていた。しかし昨年そのうちの2軒が廃業し、現在高知県に残る製餡所は、高知市廿代町の「宮崎製餡所」と、高知市石立町の「森下商店」のわずか2軒。両者ともに作っているのは、小豆などの豆類を煮て皮を取り除き、砂糖を加えていない状態の「生餡(なまあん)」と呼ばれる製餡だ。そして小豆に砂糖と水を加えて高温で練り上げる「加糖餡」は、主に宮崎製餡所が製造。こちらは、取引先の要望に応えて、1軒ずつ甘さや硬さを調整しながら作っているという。双方の代表はともに「我々はあくまで支える側。高知のお菓子屋さんの発展を願っている」と話してくれた。(※)酒が好きでたくさん飲める人

宮崎製餡所加糖餡はできたてより、時間を置いたものの方が美味しいのだそう。

あんこ屋さんへ工場見学

宮崎製餡所宮崎製餡所では、仕入れた豆の中から「石豆」と呼ばれる、加工には向かない硬い豆を手作業で選別している。

宮崎製餡所こちらは皮が白いインゲンマメ「手亡(てぼう)」。

冷却しながらふるいにかけ こしあんに使う中のでんぷん質を取り出す

宮崎製餡所生餡の製造風景。専用の機械に入れてまずは豆の皮と中身を分離させる。その後水と一緒に余分なものを洗い流し、ふるいにかけてなめらかな状態にする。

見た目はきめの細かいおからのよう これがいろいろなあんこになる

宮崎製餡所生餡は水分が多く日持ちしないため、冷蔵庫で温度を徹底管理。この生餡を各店に出荷し、店ごとに味付けがされ、いろいろなあんこになっていく。