漁師たちが帰る港

水揚げ港

漁船が集う漁師たちの拠点

漁船が出入りする光景や、活気あふれる水揚げの様子、漁を終えた漁船が物静かに停泊する夕刻の風景など、訪れる時間帯によって様々な表情を見せてくれる漁港。漁師なら、船の構造や、帰港する時間によって、どのような漁に出ている船かわかるという。

そんな漁港が最も活気付くのは早朝。漁師たちが海から帰ってくる時間帯だ。漁師の多くは、魚が最も活動的になる明け方を狙って、まだ暗いうちから出港している。早朝になると、漁を終えた漁船が次々と帰港し、慌ただしい水揚げ作業が始まる。

港に着いた漁師たちは、今度は市場が開く前に魚を持ち込む必要がある。水揚げから、魚の選別、輸送まで、すべてがスピード勝負。漁港には水揚げの活気とともに、漁師たちの緊張感も漂っている。


魚市場

活気あふれる魚市場の現場

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漁港で水揚げされた漁獲物は、その後、地域の市場に輸送される。ここで仲買人によるセリや入札が行われて、はじめて魚に値段が付き、中央の卸売市場や鮮魚店、飲食店などに運ばれる。

仲買人の目利きは、水揚げされた魚の価値を左右する重要な要素。本来は値打ちの低かった魚種が、仲買人の手腕や交渉次第で価値を見出されることもある。

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例えば、高知県民に馴染み深い「ハガツオ」は、実はある時期まで土佐清水市でのみ食されていた魚種。これを仲買人が見出して、美味しい食べ方を広めたことで、需要を生み出し、その後の漁師の仕事にも影響を与えたという。


夜の町

新鮮な海の幸で仲間と飲み交わす

夜の漁師町の醍醐味といえば、お酒とともに新鮮な地魚に舌鼓を打つひととき。港町の居酒屋にはその日に水揚げされた新鮮な海の幸が入荷しており、お刺身などで提供される。

東洋町にある居酒屋の料理人は、「漁師さんは美味しい魚を食べ慣れているから、料理で出す方も気合が入る」と話す。地元住民はもちろん、釣り客や観光客も集まり、温かい雰囲気で漁師町の夜を楽しむのだ。

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東洋町 甲浦

夜も更けて、町がしーんと静まりかえるなか、薄暗い漁港に足を運べば、漁船の中でもくもくと漁の準備をしている漁師もいる。漁師町の次の一日が始まっていく。