ハンターくんが、高知県の不思議な自然博物を探検!
相棒はカワウソのオッター。
今月の調査は... 土佐清水市「竜串海岸」を行く!
令和3年9月、日本ジオパークに認定された土佐清水ジオパーク。はるか昔から大地の営みが活発に行われてきたこの地は、神秘的な景観が多く残り、今もなお、変化を続ける。徒歩で行ける竜串海岸は、約30〜40分ほどかけて一周することができる。国立公園に指定されており、地層を削ったり持って帰ったりするのは厳禁だ。
今回案内してくれるのは…
土佐清水ジオパーク専門員 土井 恵治さん
三重県出身。長年気象庁で培った経験と知識を生かし、現在は土佐清水ジオパークの地形・地質について、情報発信を行っている。
珍しい形の岩の中に閉じ込められた大地の変動の記憶を感じ取ってほしいです。
神秘的な「竜串海岸」のミステリー
今もなお、変化を続ける大地の秘密
土佐清水の海岸沿いに見られる地形のミステリーを解き明かそうとハンターくんが訪れたのは、地質の博物館と名高い「竜串海岸」。令和3年9月に日本ジオパークに認定された「土佐清水ジオパーク」の中でも、神秘的な光景が広がるエリア。
「地盤の隆起や、堆積、風化、侵食といった大地の営みが活発なこの場所は、自然が生み出した奇岩が数多く存在しています」、そう言って海岸を案内してくれたのは専門員の土井さん。その言葉通り、海岸を歩くと日本家屋の「欄間」のように見えるグニャグニャとした地層や、蜂の巣のように無数の穴が空いた岩肌など、神秘的とも奇妙ともとれる不思議な光景が広がっている。
日本海が拡大しつつあった1700万年前頃に、砂や泥が海底で積み重なりできた岩からなる竜串海岸は、幾度となく発生した地震の影響で、地すべりや液状化現象が起こり、地層が変形。その後、長い年月を経て打ち寄せる波が少しずつ岩を削り今のような神秘的な景観が形成されていった。岩の中に浸み込んだ海水に含まれる塩が結晶となるときに岩の隙間を押し広げ、やがて岩肌に無数の穴を開けるように。これらは今もなお変化し続けており、長年、竜串海岸を見てきた住民は「数十年前と比べると、少しずつ岩の形が変わっている」と話す。その他にも、生物が生きた証である生痕化石も多く見つかっており、激動の時代を生き抜いてきた生物の気配を感じることも。神秘的な景観の成り立ちには、大地の歴史を紐解く壮大な秘密が多く隠されていた。
スナモグリが生息していたであろう巣穴の痕跡。
地震による海底地すべりでできたと考えられる「欄間石」。
地域に生きる 自然フシギ発見
「白山洞門の花崗岩」
足摺岬は1300万年前頃、マグマが冷えて固まった花崗岩でできている。ここでは、写真のように肉眼で見て分かるほど大きな卵型の結晶を有する「ラパキビ花崗岩」が産出する。ラパキビ花崗岩は、北欧の10億年以上前の古い地層ではよく発見されており、古くから建築材に使われていたが、日本ではここでしか見られない。また、新しい時代にできたものとして、世界的にも珍しく研究者達からの注目度も高い。足摺岬の西側に位置する海蝕洞・白山洞門付近では、ラパキビ花崗岩がよく見つかるが、国立公園なので持ち出しは厳禁だ。
花崗岩の海蝕洞としては日本最大級の白山洞門は、高知県の天然記念物に指定されている。