自然博物ミステリーハンター 「西山大地」

ハンターくんが、高知県の不思議な自然博物を探検! 相棒はカワウソのオッター。

 

今月の調査は... 室戸市吉良川町「西山台地」を行く!

室戸ユネスコ世界ジオパークを代表する海成段丘である「西山台地」。 ダイナミックな地球の活動が生み出したこの地形は、 入植者から続く住民たちの努力により豊かな産地となっている。台地にはいくつかの谷があり、それを境に、西地、長野、磯原という三つの集落が形成されている。住宅は昔ながらの防風林に囲まれており、神社も祭られている。

今回案内してくれるのは…
室戸ユネスコ世界ジオパーク 西山台地ガイド 河野智津さん
西山台地の西地地区で生まれ育つ。京都で観光ガイドを務めた後、現在は、室戸ユネスコ世界ジオパークでガイドとして活動している。
自然の雄大さも 素晴らしいですが、 台地で暮らす人々の文化にも 目を向けてみてください。

 

階段状の台地の不思議をひもとく! おいしい農作物ができる理由も驚き!

ハンターくんがやってきたのは室戸市吉良川町。町から急坂を上ると視界が開けたその先には「西山台地」がおりなす畑の緑、さらに畑の向こうには太平洋の青と、絵に描いたような二段構えの絶景が出迎えてくれる。上空から見ると、海に向かって延びるなだらかな台地は、突如、急勾配となり海へ向かう。「ここは12万5千年も昔、海中でした。波の力によってなだらかに削られた海底がプレート活動の影響で隆起し続けた結果、世界でも珍しい海成段丘ができたんです」とガイドの河野さん。西山台地を歩いているとそこら中で見かける丸形の石「くさり礫(風化したことをくさったと言い、風化した小石のこと)」、これが海底だった証しらしい。「くさり礫は海中で波の力に磨かれ、長い年月をかけて隆起していく間に風化したもの。西山台地のある民家では門の敷石にも使われていますよ」。ここで暮らしてきた人たちの文化も感じながら、ハンターくんの調査は続いた。 西山台地といえば、農作物の産地としても有名だが、入植活動が始まったのはおよそ200年前。当時、雨を蓄えられない台地ゆえの水不足問題で、農地開拓は困難を極めた。しかし、長年にわたる試行錯誤の末に造られた「ため池」により状況は一変。日当たりも水はけも良く、海風が適度なミネラル分を運んでくれる西山台地で、作物はすくすく育ちはじめた。  現在では、西山金時やキラ坊スイカをはじめ、柑橘類、ハウスピーマン・ナス、お正月の縁起物であるセンリョウなど、良質の作物を全国へ出荷する「農産物の宝庫」として名をはせている。

「ため池」が西山台地を水不足問題から救った。

海岸にあるような丸い石が、長い年月をかけて 風化した「くさり礫」

西山台地から一望できる畑と海の絶景。

地域に生きる 自然めぐみ発見

「西山金時」●にしやまきんとき

日曜市の有名な芋天にも使われている、サツマイモの名ブランド「西山金時」を育む西山台地。その場所に、農地に不向きとされた長い歴史があったとは…。水不足問題を抱えていたこの土地で、こんなおいしい作物が育つようになるとは、当時、誰が想像できただろう。こんなにも甘くて濃厚なサツマイモが採れるようになるなんて…。

西山金時 生産者/細松卓也さん

先祖から田畑を引き継いで、西山金時を栽培しています。畑の目の前に広がる太平洋は、いつ見ても圧巻です。西山金時のおいしさは、なんといっても日照時間が大きな決め手。焼き芋にすれば、甘くてホクホク! まずは西山金時そのものの味わいを楽しんでほしいです。