地域を超えて繋がる音楽の輪

ラ・ラ・ラ音楽祭を通じて 高知が第二の故郷に

ラ・ラ・ラ音楽祭に魅せられて、県外から足を運ぶミュージシャンは少なくない。その中の一人が兵庫県で活躍する「ザ ナチュラルキラーズ」の千代谷正貴さん。遡ること今から約10年前。兵庫県西宮市でライブをした時、たまたま居合わせた高知のお客さんを通じてラ・ラ・ラ音楽祭の存在を知り、2011年に初出演して以来、毎年参加する常連に。「神戸新開地音楽祭や、大阪の天満音楽祭など、全国の野外音楽祭はこれまでたくさん出演してきましたが、ラ・ラ・ラ音楽祭はそれらとは一線を画すものがあります。街中にステージがあり、空気感、温かさ、マインドオープンな県民性… 高知の良さが溢れていて、とても魅力的な音楽祭だと思います」。実は千代谷さん、ラ・ラ・ラ音楽祭の出演を機に高知がすっかり気に入って、時には一人で、時には高知のミュージシャン達と一緒に、これまで何度も高知でライブを行っている。「ラ・ラ・ラ音楽祭に合わせてその前後に色々ライブして回ってるんです。気が付けば、地元の兵庫以外で高知が一番長く来続けている土地になりました」。

そんな中で出会ったのが、高知で活動するバンド「イゴリンズブレインビースト」だ。双方の出会いは2013年頃のこと。一人で高知に歌いに来ていた千代谷さんが「高知フォーク酒場 グラッシー」でライブをする際、マスターが前座に呼んだのが「イゴリンズブレインビースト」のリーダー・井郷智史さんだった。「その日の夕方電話がかかってきて、今夜ライブがあるから前座をして欲しいと。そこで千代谷くんと初めて出会いました。すごくかっこ良くて、とても印象に残っています」。それをきっかけに連絡を取り合うようになった2人は、定期的に高知で合同ライブを行い親睦を深めていく。

日本のどこにいようとも 音楽を通じて繋がる

 元々東京出身の井郷さんは18歳で音楽を始め、結婚し、奥さんの故郷である高知に今から18年前に移住。現在はソロと、結成して2年目のバンド「イゴリンズブレインビースト」の二足のわらじで音楽活動を続けている。「ラ・ラ・ラ音楽祭はお客さんとして見に行っていたんですが、せっかくバンドを組んだのだから出てみようと、初めて出演したのが昨年でした。やっぱり見ると演るとでは全く違って、演者の方が断然楽しかったですね」。

自分のステージが終われば仲間が出るステージを回る、どこを歩いても色んなジャンルの音楽に触れられるのが何よりの魅力と語る。「千代谷くんのステージも見に行きましたよ。毎年ラ・ラ・ラ音楽祭に参加し、それ以外にもたくさん高知に足を運んでもらって嬉しいですね」。ちなみに普段はお互い密に連絡を取り合ったりはしないのだとか。井郷さんは「千代谷くんのFacebookを見たらだいたい何をしているか分かりますから」と。千代谷さんは「高知の人は距離感をとるのが上手だと思います。それでいて義理堅く、温かい。それが僕にとって心地いいんです」と。そんな双方の絶妙な関係性もラ・ラ・ラ音楽祭が生み出した魅力のひとつだ。