小野義矩さん 〜 プライムトーク 〜

今まで経験してきたことを最大限に生かし、コミュニティづくりや地域活性を目指し奮闘する中、根底にあるのはいつも「自分が一番に楽しむこと」。そんな青年の物語に、これまでもこれからも欠かせないのは、自らの人生を変えた「自転車」という相棒。

自転車との出会い、転職… 一度も来たことのなかった高知へ

 小野さんが自転車と出会ったのは、大学卒業後に就職した工務店で働いていたときのこと。忙しい毎日の中でおのずと増えてしまった体重を落とすべく、フィットネス目的でロードバイクを買った。それから週に数回通勤手段として自転車を使うようになったのだが、川崎市と会社があった池袋、往復で約50kmの道のりは実に爽快で、一気にハマってしまった。そしてその後26歳の時にスポーツバイクショップに転職し、入社して約1年後には店長に就任。アフターサービスにより力を入れ、週末に走行会を行ったり定期的にワークショップを開いたり、当時どこの店もやっていないことにどんどんチャレンジしていった。物を売るだけでなく体験を提供することで、ゆくゆくはそれが店の価値になると信じて…、しかし、そんな毎日を送る中で小野さんの胸にはずっと消えないわだかまりが。「家族との時間が全然とれていなかったんです。これからは妻と子どもとの時間を第一に考えようと思い転職する事にしました」。第二の人生を歩む場所に決めたのはいの町。退職後に参加した移住フェアをきっかけに高知を知り、環境や条件の良さに惹かれ移住を決めた。

活動の拠点となる場所ができ 広がり続けるコミュニティ

 2017年4月、高知にやってくると共にいの町の伊野地区初の地域おこし協力隊に着任した小野さん。「中心商店街の活性化」と「スポーツバイクを使った観光振興」2つのミッションを達成するべくさまざまな活動を精力的に行っており、それを具現化したひとつのかたちが2019年9月にオープンした「GOOD FIVE」。商店街で長らく使われていなかった築110年の空き家を改修し、カフェとして、そしてイベントやワークショップを行う場所としても活用。小野さんが高知で活動する全ての拠点になっている。「まずは人が集まりコミュニティができる場所が必要と考えました。お店というかたちが一番分かりやすくて受け入れられるだろうと」。カフェでは「いの町で育てられる有機生姜をたくさん使うこと」を目的とし農家さんと一緒に考案したスパイスカレーや、東京の天然クラフトコーラ専門店「ともコーラ」を高知で唯一取り扱うなどのこだわり。そしてこれまで行ったワークショップは、ランニングサンダル・ワラーチを作り商店街を走ったり、いの町の里山に登ってコーヒーを楽しんだりと、多くはいの町の自然と街を舞台にしたもの。そして今後は、自転車に関する大きなイベントも控えている。

高知に根付いた活動を今までもこれからも自転車とともに

「GREAT EARTH 第2回 高知仁淀ブルーライド」での一コマ。沈下橋を走るコースは参加者からも大好評で自然と笑顔が溢れる。

 今年の5月には、小野さんが中心となって創設したライド大会「GREAT EARTH 第3回 高知仁淀ブルーライド」が開催予定。仁淀川流域6市町村、110kmの道のりを走るというもので、昨年は全国から550名もの参加者が高知を訪れた。そしてもう1つ新たなイベントとして、自転車カルチャーと高知の様々なカルチャーをミックスさせた「バイクロア in 仁淀ブルー(仮)」も秋の開催に向け準備を進めている。こちらは子どもから大人まで楽しめる内容で、仮装したり、自然体験ができるブースがあったりと、一種のフェスのような内容になる予定。さらに「ともコーラ」とコラボして、生姜、レモン、黒糖、和ハーブなど高知食材で作る「高知クラフトコーラ」の販売も控えているなど、この先もわくわくするような話題が目白押しだ。  高知に来て3年。着実に地域に根付き、持ち前の行動力と人望をもって新たな道を切り開いている小野さん。今後はどのような目標をもって歩んでいくのか。「豊かなスポーツフィールドに恵まれたいの町、高知県に多くの人を呼び込むこと。まずは自分自身が楽しんで、イベントや店舗をとおしてできることから始めていきたいです」。


FM高知で毎週金曜放送中の番組「プライムトーク」に出演した際のスタジオの様子。小野さんの出演回は4月3日、4月10日の2週に渡ってオンエア。