土佐の名建築【ギャラリー】〜新たな使命を持ってリノベーション〜

贅を尽くした商家建築 今なお重厚感をもって 須崎の街角に健在
酒造、製紙業、金融など、多岐に渡る事業を行い繁盛した須崎の有力商家・三浦商店。一面黒塗りの外壁が印象的な旧店舗部分は、木造二階建ての塗家造と高知県では代表的な商家建築だ。主屋には土佐特有の良質のヒノキ丸太、表門にはケヤキ材を使用するなど良材を多用、また西洋を感じさせるデザインを取り入れたりと、当時の最先端とされた。長らく空き家だった建物が再び息を吹き返したのは2010年のこと。須崎の様々な地域資源を活用し、須崎の魅力を知ってもらうための文化交流施設「すさきまちかどギャラリー」として活用されるように。

企画展や地域の伝統文化を取り上げた展示、また新たな視点から須崎の魅力を探るためのプロジェクト「現代地方譚」を開催するなど、県内外から注目を集めている。2014年には大規模な改修が行われ、建物の修繕に加えて新たな設備も増設され、活用の幅に広がりを見せている。「地域の文化振興と歴史の掘り起こしの拠点となるように」と川鍋館長の言葉通り、須崎を支えてきた商家が今、別のかたちで地域を支える代表的な場所として健在している。