特集その2 日曜市の歩き方

いつからか日曜市から足が遠のいているあなたに贈る、
日曜市のこんな歩き方、あんな歩き方を紹介します。

松川和嗣さん(41)/そのみさん(41)/華子ちゃん(6)
旬の野菜を求めて生産者を訪ねる
茨城県つくば市から高知市に移って7年。休日は朝から日曜市に出かけます。最初はいも天を食べながら店を見てまわるくらいだったのですが、だんだんとその日に食べる野菜などを買うようになりました。トマトはすごく甘いし、リュウキュウなんて、食べるのは高知だけじゃないですかね。

普通のトマトの品種を水も肥料もギリギリまで抑えるとフルーツトマトになるというのも高知に来て初めて知りました。今年は文旦の時期が少し遅れたとか、初夏になってキュウリを並べる店が増えたとか、早くもトウモロコシが登場したとか、毎年歩いていても違いがあって飽きません。梅が出始めたと思ったら赤ジソも追っかけてきて、シソジュースを作るのに一束買ってみました。

 高知の野菜が際立っておいしいのは、農家が収量ではなく、おいしく作ることを目指しているからでしょうね。パイナップルやサトウキビなどレアなものを見かけた時は農家の意気込みを感じました。

その中でも一番のおすすめは、苗。ホームセンターなどで売っているものに比べて、農家が発芽させた苗は大きくて元気です。今年は、レタス、ネギに加えて、シシトウも植えました。水やりや肥料など、育て方のコツや収穫のタイミングなど、苗を買ったお店に相談に行くこともあります。普段は大学で農学を教えているのですが、プロの農家にはかないませんから。

中越あゆみさん(29)
1週間分の野菜を千円ぽっきりで

千円でどれくらい買えるんやろう?」

 そう思いついたのが、“日曜市千円チャレンジ”の始まりです。1週間分の野菜を求めて、日曜市に繰り出しました。
 千円札を握りしめ、1丁目と2丁目を行ったり来たり。買いたいものが決まっていても、珍しいものにはついつい手が伸びます。この日、真っ先に目についたのは、白いかぼちゃのような野菜。店のおばちゃんに聞くと、「UFO」と呼ばれるズッキーニの一種で、炒めるとおいしいと教えてくれました。隣にあった、大きな葉っぱのついたニンジン、ついでに玉ねぎも買って、残金690円。

 買いたかった大根やキャベツ、カボチャはお手頃価格でゲット! 衝動買いした白ウリに、旬のリュウキュウも買い足すと、あっという間に残金110円。

 買いたかったトマトをあきらめようと思った矢先、青いトマトを発見! 去年も同じ時期に見かけて、炒め物やピクルスにするとおいしいと聞いていたので飛びつきました。赤いトマトより酸味が強く、オリーブオイルで炒めても食感がいいのですが、今回は牛肉と炒めて食べるとおいしいという新情報を得たところで、合計990円。買い物終了です。

 家に帰って並べてみると、1週間では食べきれないくらいの量になりました。

千円で買った1週間分の野菜。ニンジンの葉はパセリのようないい香りで、オムレツにピッタリ。白いズッキーニはグラタンにしてもおいしそう。
混みあわない午後や雨の日に
黒川拓郎さん(20)

僕は午後の日曜市が好き。お客さんがまばらになると、店のおばちゃんたちにも余裕ができて会話が弾みます。
 
「これはなんていう野菜?」と一声かけると、産地から、作り方、さらには調理法まで細かく教えてくれます。スーパーで買うより安いし、作った人から買える場は他にあまりありません。雨の日なんかもっとお客さんがまばらで、じっくり話ができます。

 2丁目にすごく辛いトウガラシを売っているおばあちゃんがいるんです。「まあ食べてみて」とすっと試食を出してくれるんですが、これが泣くほど辛い。僕が辛さに耐えている顏を見ておばあちゃんは大笑い。ドSやなあ、と思いますがいつも立ち寄ってしまいます。

「卒業後のことは決めたかねー?」となじみの店主。「それが迷ってるんですよー」とお悩み相談が始まる。

日曜市というと農作物のイメージが多いのですが、炭屋さんがあったり、花屋さんがあったり、古道具屋さんがあったり、なんでもあります。〒マークの付いた郵便屋さんの革の鞄とか、何十年も前の絵本とか、見たことのないような古物を見て、店のおんちゃんの説明を聞いたり、写真を撮ったり、いつの間にか日が暮れています。

 最近はおしゃれな木工屋さんとか、オーガニックのかき氷を出す店もあって、若い人にもおすすめです。

6丁目の辺りは古道具屋さんもたくさん。 古物を取り扱う店主から聞く昭和の高知に興味津々。