高知で生まれ、今や世界の海や大地、街中で躍動する機械たち。
その一台一台には、開発者や製造に携わる人たちが抱く、高知人らしい熱い魂が息づいている。
強力吸引作業車
世界でひっぱりだこ!?高知のハイパワー吸引車

主な行き先
・ベトナム
・フィリピン
・台湾
・パキスタン
・シンガポール
・中国 ほか
外国作業員も仰天!
桁外れの吸引力で街をキレイに
下水道の汚泥を吸い取る「強力吸引作業車」で国内最大手のシェアを誇る「兼松エンジニアリング」。その原点は、意外にも吸い取るのではなく、「空気を吹き出す」クーラーの開発。「高温や粉じんに悩む製造現場で働く人に、清浄な冷気を届けたい」という開発者の思いが、技術力の根底にあるという。
強力吸引作業車もまた「困り事を解決したい」という熱意の結晶。一台一台が現場ごとの課題に寄り添ってオーダーメイドでつくられており、車が入れない悪路や狭い道でホースを100m以上伸ばしても吸引できる強力な能力を持っている。その性能の高さは海外でも評価され、これまでに257台が世界各地で活躍している。
こんなふうに使われている!
下水道に溜まった汚泥や石をパワフル吸引!

エチオピアにて側溝に溜まった汚泥を吸い上げて、道路整備をしている様子。
汚泥の中には服や靴といったゴミも含まれているが、強い吸引力で全てを吸い込み清掃している。

「納品したら終わり」ではなく、海外で働く人のために、吸引車の安全で確実な使い方も、現地で社員自ら指導。サポートも含めて、世界各地のインフラ整備に貢献している。
海上クレーン
高知生まれの「海の巨人」!?

主な行き先
・アメリカ
・モロッコ
・オーストラリア
・シンガポール
・インドネシア ほか
県内の製造業者とも力を合わせる
オンリーワンな海上クレーン
およそ30カ国で使用され、世界中の海底で土砂を取り除く作業などで活躍している「SKK」の海上クレーン。その部品点数、なんと約1万点。主要な部分は高知市の本社工場で製造し、大小さまざまなパーツは高知県内にある製造業者とも協力して生産しているという。
そこには「高知から世界のオンリーワンを目指す」という、高知愛が込められており、海上クレーンの耐久性能は、世界中から認められている。高さ40mを誇り、「海の巨人」とも言えるSKKの海上クレーンは、頑丈さや操作のしやすさはもちろん、手厚いメンテナンスでも高く評価され、世界の海で長期にわたり活躍している。
こんなふうに使われている!
海上建築物の土台作りや堆積した土砂を取り除く

モロッコにて海底に溜まった土砂を取り除き、航路整備をしている様子。
ほかにも空港や貿易港といった海上建築物の土台を作るなど、様々な用途で活躍している。

輸出される海上クレーンのほとんどは、海底の土砂を掘って取り除く「グラブ浚渫(しゅんせつ)船」。
海上に建築物を作る際に重要なくいを海底に打ち込む、「くい打ち船」なども輸出している。
杭圧入引抜機
高知発の「静かなる怪力」とは!?

主な行き先
・オランダ
・アメリカ
・シンガポール
・イギリス
・ドイツ
・タイ ほか
音を立てずに杭を打つ
高知で生まれた圧入技術
世界の建設現場で静かに、しかし圧倒的な力を発揮している「技研製作所」の杭圧入引抜機「サイレントパイラー」。
その原点は高度経済成長期、高知市で工事業を営んでいた創業者の北村精男(きたむらあきお)氏が、「社会問題となっている杭打ち工事の振動や騒音公害をどうにか解決したい」と決意し、世界で初めてとなる圧入工法を独自に生み出したことにさかのぼる。
昭和61年にはスウェーデンへ初めて輸出され、これまでに40以上の国と地域で稼働。振動や騒音を最小限に抑え、鉄の杭を地中深くまで打ち込める圧入工法は、土木構造物の安全性を確かにする。革新的な技術として、世界各地のインフラを支え、人々の暮らしと命を守り続けている。
こんなふうに使われている!
世界遺産の運河を守る

世界遺産であるアムステルダムの運河で進む、サイレントパイラーを使った護岸の改修工事。騒音と振動の小ささはもちろん、省スペースかつCO2を排出しない工事ができることも評価された。

堤防や護岸の補強をはじめ、道路や鉄道沿線の工事など、世界中のさまざまな土木工事で活躍している。

①兼松エンジニアリング株式会社(高知市)
南海トラフ地震にも備える!
私たちの命を守る地元企業
ホースを100m以上伸ばしても吸引できる性能を持つ「兼松エンジニアリング」の強力吸引作業車は、能登半島地震や道路の陥没事故現場など、数々の災害復旧現場でその能力を発揮している。「自社製品を通じて高知県民の命を守る」という強い思いから、災害時の人命救助も想定した強力吸引作業車の開発や、高台となる高知市一宮(いっく)に新工場を建設するなど、近い将来起こるとされている南海トラフ地震への対策も進めており、いざという時に県民を守れるよう備える、心強い地元企業なのだ。
②SKK(高知市)
今も羽田空港で活躍中!
高知生まれの「海の巨人」
「SKK」の海上クレーンが、羽田空港のコンテナターミナル港建設で活躍している。グラブ浚渫(しゅんせつ)船で海底に溜まった土砂を取り除き港の整備をしたり、杭打ち船で海上に港を増設するための基礎となる杭打ち作業を行ったりと、作業は現在も続いている。高さ40mを誇る海上クレーンが動く様子は、まるで「海の巨人」! その姿は飛行機からでもバッチリと確認することができるので、機会があれば上空から「海の巨人」を探してみて!(写真は杭打ち作業のイメージ画像)
③株式会社 技研製作所(高知市)
高知で生まれた技術が宇宙へ!?
令和3年、国土交通省が主導する「宇宙建設革新プロジェクト」において、数ある応募の中から「技研製作所」の提案が採択され、「技術研究開発(R&D)」を進めている。これは、近い将来「技研製作所」の杭圧入引抜機「サイレントパイラー」が月面建設で活躍するかもしれないということ!重力に依存しない圧入工法や自動運転技術などが高く評価されたのだとか。「杭打ち工事の振動や騒音公害を解決したい!」という創業者の思いから生まれた高知発の技術が、世界を超えて宇宙へと活躍の場を広げようとしている。





