キラリ、そして「ピリリ」と放つ存在感 高知の食文化に欠かせない 辛くて香り高い「薬味」の数々 歴史、産地、そしてその薬味を使った料理のこと もっと知りたくありませんか?
太陽のめぐみをいっぱいに受け、青々と輝くやっこねぎ。栄養価も高く、疲労回復や風邪の予防、美肌や代謝の促進にも効果があるといわれている。
やっこねぎは収穫までの数ヶ月が正念場。生育に大きく関わるかん水管理や、日差しが強くなる朝方の遮光などを毎日徹底して行う。
土壌環境もやっこねぎの生育に関わる大事な要素。土が固くならないよう有機物を混ぜて土の湿り具合を調整し、ふかふかの沃土(よくど※)を作り出す。 ※地味の肥えた土壌・土地
何にでも使えて万能な 薬味の代表格
青ネギの一種である「小ねぎ」は、さまざまな料理で広く利用されている万能薬味。通常の青ネギに比べると、緑色の部分が細く、香りや食感がとても柔らかいことが特徴で、生のまま薬味として用いられるだけでなく、加熱して甘みやコクを一層引き立てて使うなど、調理法が豊富なのも大きな魅力だ。高知県では、県内の広い地域でハウス栽培されている野菜の一つであり、中でも香美市土佐山田町を発祥とするブランド「やっこねぎ」は有名である。現在、多くの県民に「小ねぎ=やっこねぎ」という認識が行き届いているのも、おそらくこの食材の存在があったからだろう。
やっこねぎ発祥の地である香美地区では、現在、やっこねぎ部会の方々を中心にハウスを利用した高品質なやっこねぎ作りが営まれている。
緑の葉の部分が細く、香りの高いやっこねぎは、全国の市場で高く評価されている。現在は県外への出荷が主だが、収穫期には高知市にある「とさのさと」に陳列することも。
土佐山田町で生まれた 「やっこねぎ」の歴史
高知県で「やっこねぎ」の生産が始まったのは昭和52年のこと。当時、九州で流通していた「万能ネギ」(=小ねぎの一種)に魅了された生産者が、その種を土佐山田町に持ち込み、5人の地元生産者によって栽培が始まったことがきっかけ。当初は賛同者も少なく、栽培方法も試行錯誤の連続だったそうだが、土壌環境を整えることで品質が向上し、徐々に生産が拡大していった。そして昭和54年、本格的に全国販売が始まり、その際に初めて「やっこねぎ」という名前が付けられることに。名前の由来は、小ねぎの中に「奴(やっこ)」という品種があったことや、薬味として相性の良い「冷やっこ」の存在、そしてやっこ凧が空に舞い上がる様子に商売の繁盛を願ったことにあるそうだ。
ネギの香ばしさが楽しめる「やっこねぎのおにぎり」や、ネギ・ミョウガ・生姜の3つの薬味をふんだんにあしらった「やっこねぎのサラダ」など、やっこねぎの魅力を知る生産者ならではの食べ方を発信。
やっこねぎの産地から おいしい情報発信
土佐山田町のやっこねぎ部会が運営するホームページやSNSを覗いてみると、やっこねぎを活用した独創的なレシピが次々と紹介されており、とても面白い。従来の薬味としての利用法に加え、農家ならではの豪快なネギ料理、フレンチやイタリアンにアレンジされたメニュー、さらには地元のパン屋さんとのコラボレーションによるネギパンなど、主役・脇役どちらでも楽しめる「やっこねぎ」の魅力的な料理が発信されている。
土佐山田町内のパン屋さんでは、地元のネギを使ったパンが販売され話題となった。