ワカモノがゆく! vol.2 土佐文化体験記

ワカモノがゆく! vol.2 土佐文化体験記

 高知県内各地で脈々と継承されてきた地域の文化を、ワカモノたちが初めて体験! 今回は、四万十町十和に伝わる川エビ漁に、地元の小中学生がチャレンジしました。

土佐文化体験記-01

清流・四万十川で育まれる 川の幸と伝統漁法は これからも受け継がれていく

 高知県西部を流れる四万十川では、源流域から河口域に至るまで、多様な生態系が見られる。「川エビ」もその一種で、体長約10センチの雄はハサミが長いことから「テナガエビ」とも呼ばれる。6〜8月末にかけて漁獲され、煮付けや唐揚げで食べることが多く、地元の人々にはなじみのある川の幸だ。 川エビの夜行性の習性を利用した川エビ漁は、今でも四万十川で行われる伝統漁法。竹で編んだ筒や木筒を使った「ころばし漁」や、小枝などの柴を束ねて仕掛ける「柴漬け漁」などいろいろな漁法がある中で、今回体験したのは「エビ筒漁」。手作りの筒にエサを入れ、数日間川辺に仕掛けてエビを捕獲するというもので、 ここ四万十町十和で今から約40年前に始まった漁法である。 そんな地域に根付く漁に、地元の小中学生が初めて挑戦。仕掛けは、塩ビ筒、ネット、針金といったホームセンターで手に入るものを使用しており、身近にある素材で作ることができるのもエビ筒漁の特徴だ。

いつか思い出してもらいたい 川とともにある暮らしに 思いをはせて

 
 「自分で作った仕掛けに何が入っているかワクワクする」と話すのは、中学2年生の芝さん。夏が来ると近所の川に仕掛けの目印となる浮きがある様子は見てきたが、仕掛けを作るのは初めて。講師を務める矢野さんの話を真剣に聞き、作業が始まると、意見を出し合いながら没頭する様は大人顔負けだ。  川エビ漁を終えて川で遊ぶこどもたちを眺めながら矢野さんは「今のこどもたちは昔に比べて川で遊ぶ機会が減りました。すぐそばにこんなに魅力的な川が流れているので、大人になった時にこの景色を思い出してもらいたいですね」と話してくれた。

「川エビってこんな風に捕まえよったがや!」 矢野さんの説明を真剣に聞いた後は、みんなで協力して仕掛け作り。
講師を務めた「しまんと分校連絡協議会」の矢野健一さん(左)と佐々倉愛さん(右)
土佐文化体験記-02
川エビが潜んでいる石の下に手作りの仕掛けを設置。
「すごい!自分で作った仕掛けで獲れた!」翌朝、仕掛けを確認してみると川エビが捕れており、各々の川エビを笑顔で見せ合った。
四万十町 エビ筒漁

土佐文化体験記-03

 「エビ筒漁(エビつつりょう)」は、十和地区で始まった川エビの漁法のひとつ。この漁法が定着するまでは、地域の人は友人や家族と遊びに行く感覚で川へ行き、網や素手で川エビを捕まえていたのだそう。それくらい川エビは身近で、手軽に捕まえることのできる生き物だった。またこの地域は「こいのぼりの川渡し」発祥の地として全国的にも知られる。   

 問い合わせ/0880-28-5801 (しまんと分校連絡協議会)