よさこい祭りでこどもが成長する!

よさこい祭りでこどもが成長する!

 高知で行われている祭りを改めて見てみると、祭りの経験を通して成長するこどもの 姿に気づく。今回は高知を代表する「よさこい祭り」に参加するこどもたちの姿を追った。

伝統復活を目指して 奮闘する高校生
よさこい-画像1
帯筋本隊の後ろに続くのがジュニア隊の隊列。黒と白のストライプに「帯筋」の文字が大きく入ったおなじみの衣装に「Jr.」のロゴが光る。来年こそジュニア隊復活を目指し、こどもたちは熱い夏を踊り抜いた。

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 高知の夏の風物詩「よさこい祭り」。今年行われた第71回大会に参加した踊り子の総数は約1万7000人で、その中には高校生以下のこどもたちの姿もたくさん見られる。しかしここ最近はこどものみで構成されていたいくつかのチームも、参加者が集まらないなどの理由で出場を断念している。  今回訪ねたよさこいチームの「帯屋町筋(通称:帯筋)」も、ここ数年は令和元年まで単独出場していた「帯屋町筋ジュニア隊(以下:ジュニア隊)」を吸収する形で出場している。そんな中、小学生から高校生を取りまとめているのが、高校生インストラクターだ。皆、小学校低学年からジュニア隊でずっと踊ってきた生粋のよさこい好きで、「教えられる側から、いつの間にか教え る側になっていました」と笑う。こどもがこどもに踊りを教え、面倒を見るというのは、よさこい祭りではよくある光景で、ジュニア隊でも代々受け継がれてきた。「来年こそはジュニア隊を復活させ、帯筋が築いてきた伝統をつないでいきたい」と思いを熱く語ってくれた。

限られた時間で行われる練習も真剣勝負。高校生たちは大きな声を出してこどもたちを指導していた。

よさこい-やまもも

 
自主的に参加し 祭りを支える力


 よさこい祭りでは、運営側にこどもが携わっていることもある。中でも「梅ノ辻(うめのつじ)競演場」では、踊り終わった踊り子を迎える給水場で地域の小学生と中学生が手伝うのが通例となっている。「この辺りは昔から特に地域のつながりが強く、大人に混ざって手伝うこどもが毎年いて助かっています」と、梅ノ辻競演場代表の服部一浩(はっとりかずひろ)さんは言う。さらに今年は岡豊(おこう)高校のサッカー部が7会場の給水場運営を手伝いながら、大きな声を出して踊り子をねぎらい、場を盛り上げていた。

ひっきりなしにやって来る踊り子に、手際良くお茶を準備する岡豊高校のサッカー部員。顧問の西野大祐(にしのだいすけ)先生がよさこい関係者とつながりがあったことから、今回初めてこのような取り組みが実現した。
コラム 江戸時代から続くエンコウ祭り

 他県の河童(かっぱ)に相当する水の妖怪「猿猴(えんこう)」を祭り、水難事故防止を祈願する「前浜のエンコウ祭り」。毎年6月第1土曜に南国市で開催されており、これまで祭りの主役はこどもだった。最年長の「大将」を中心に小学生から中学生までのこどもたちが、寄付金集めや清掃活動などの準備を行い、当日はショウブでお社(やしろ)を作り、エンコウの好物のキュウリの酢もみやお神酒(みき)を供えて水難事故防止を祈念する。しかしここ最近は、地域のこどもの数が少なくなり、準備の大半は大人が行っているという。実行委員会の髙木貞夫(たかぎさだお)さんは「それでも伝統は絶やされんという思いで、祭りを続けています。いつかまたこども主体でできる日が来てほしい」と話してくれた。

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