ご当地スポーツ【クライミングの聖地】〜高知が注目を集める理由〜

県内外から クライマーが来る メジャースポット
2020年東京オリンピックの競技に採用されたことで、一躍その名が有名になった「スポーツクライミング」。そもそも「クライミング」とは直訳すると「登る」という意味で、例えば氷を登る「アイスクライミング」も、木を登る「ツリークライミング」も、全て「クライミング」の一種。その中のひとつ、本物の岩を登る「ロッククライミング」の舞台として、高知が今全国のクライマーから注目を集めている。「高知はまさにロッククライミングの聖地。一生かかっても登りきれないほど、魅力溢れるスポットがたくさんあります」と語るのはクライマー歴17年の岩佐さん。中でも、真っ先に名が挙がる「超メジャー」なスポットとして教えてくれたのが、香美市香北町にある「日ノ御子キャンプ場」から上流に行った川沿いのエリア。そこには巨大な石灰岩がごろごろと点在し、多くの愛好家が訪れる高知きっての人気スポットとなっている。また高知県の海岸沿いのボルダリングエリアは通称「黒潮ボルダー」と呼ばれ、クライマー達の心をくすぐるような大きな岩が多数点在している。「高知にある岩の特徴は、大きくて高さがあること。そして何よりロケーションがいい。SNSが普及した今『写真映え』はクライミング界にも重要な要素になっていて、まさにそこが合致して高知のスポットが有名になっていったように思います」。その代表格とも言えるのが、春野漁港にある巨大な岩「松風」。眺めの良い浜に岩がどっしり鎮座する様は、多くのクライマー達の心を掴んで離さない。

もっと身近に、 レジャー感覚で 楽しんでほしい
「スポーツクライミング」と違って、「ロッククライミング」は自然の中で行うということもあり、誰かと競い合ったり、距離やタイムを計測したりすることはない。それゆえに、誰がいつどこの岩をどのルートで登ったのか正式な記録もない。もちろん高知でも、良い意味でそのゆるいルールは共通のことだったのだがそこへ一石を投じたのが、高知出身のクライマー・永尾貢さんによる著書「高知・黒潮ボルダー vol.1」の発行。黒潮ボルダー、メインエリアのガイドブックで、7つの海のエリア、91個のボルダー、230課題、全ての岩の写真がコメント付きで紹介されており、後にvol.2、物部版が発行され話題に。この本は、著者である永尾さん含め、全7名のクライマーの解説が入っているのだが、岩佐さんもその中の一人だ。「登ること自体が楽しいのはもちろんですが、自然の中で四季の移ろいを感じたり、子どもも大人も楽しめる要素もある。難しい、危ないとったイメージが先行しがちですが、もっと身近なレジャーとして根付いてほしいと心から思っています」。

そんな思いを実現するべく、実は永尾さんと岩佐さんで自然の中でロッククライミングを楽しむイベントを企画。まずは室内でのボルダリング経験者を対象に開催し、いずれは未経験者でも楽しめるイベントにして、高知のクライミング人口を増やすことを目的に継続予定だ。「自然の波、風、雨が何十年、何百年とかけてつくった岩の造形を、この手に持って登る喜びを一人でも多くの人に体感していただきたいです。せっかくここ高知に生まれたんですから!」