詩集『やまもも』にみる夏のこども

詩集『やまもも』にみる夏のこども

「異なった環境の中で今を懸命に生きるこどもたちの姿、真実の声を、みんなのものにしたい」という願いのもと、 昭和52年に創刊された高知県こども詩集『やまもも』は48集に。掲載された詩から、高知人のルーツを探る。

夏のこどもがきらきら輝いている 『やまもも』に満載の高知人のルーツ


 こどもたちが紡いできた詩から見えてくるのは、高知で暮らすこどもたちのありのままの姿。詩の題材は、自然や遊びのこと、社会のこと、家庭のこと、学校のことなどさまざまで、各集掲載の約350編の詩に「その子らしさ」がキラリと光る。夏を題材にした詩では、高知の自然をダイナミックに表現したものや、夏休みの宿題のこと、祖父母の手伝いをしたことなどが並び、楽しいものもあれば、本音ズバリのもの、うまくいかなくて悔しかったことなど、こどもならではの表現がなんともほほ笑ましい。長きにわたって『やまもも』の編集に携わっている上杉さんと丹下さんは「『やまもも』は、高知のこどもの教育を支えてきた柱の一つ。詩を 書くことはこどもの自己確立につながり、詩を読んだ人は作品から元気やパワーをもらえます。県全体でここまで熱心に取り組んでいる例は他県には無いので、これからも続けていきたい」と話す。  児童詩教育に真摯に取り組む先生、頑張って詩を書くこどもたち、出版面や報道面で支える地元の企業、『やまもも』を楽しみにしている多くの人々。たくさんの人たちの愛と熱意によって支えられている『やまもも』は、高知にしっかり根付いた貴重な教育文化になっている。