映画好きが集まる風土あり!? 高知に引き寄せられる映画

地域に根付いた映画ファンが多い高知県。映画の題材になりそうな景色や文化もたくさんあることから、映画人が引き寄せられることも。自身も高知に移住された甫木元さんに、お話を聞きました。

甫木元 空(ほきもと そら)さん
平成4年、埼玉県生まれ。多摩美術大学にて、映画監督・青山真治の下で映画制作を学ぶ。平成28年「はるねこ」でデビュー。同年、高知県四万十町へ移住し、令和4年に「はだかのゆめ」を公開。映画による表現をベースに、音楽など、ジャンルにとらわれないスタイルで表現の世界を拡大している。


高知に活動場所を移したのは
新たな表現を求めて

現在、高知県四万十町を拠点に、映画監督、ミュージシャン、小説家として活躍している甫木元空さん。母の実家があった四万十町へ移り住んで、今年で8年目になる。  移住のきっかけは、デビュー作で生まれ育った埼玉県を舞台に「はるねこ」という映画を撮影したこと。移住という決断に、よく「苦労はなかったか?」と聞かれるが、甫木元さんは「環境の変化は自分で望んだこと。これから撮っていきたい映画は、自分が見て聞いて、体験の中で生まれた家族の話を自分のルーツが眠る高知で撮ってみたい、と思ったんです」と話す。


地元の肌感覚を探して
映画表現を深めていく

高知と映画制作の関係について、「高知はどう撮っても面白いものばかり」と甫木元さん。無防備な自然と、地域に根付く文化や暮らし。それらは、都会にはなかったインスピレーションを与えてくれるという。  中でも、移住後に甫木元さんが大事にするようになったのが、「地元の肌感覚」。「高知のように、独自性が豊かな土地には、そこで暮らしてきた人だけが持つ肌感覚があると思う。内と外での見え方の違いを、映画の中でどう表現するか。それが面白いんです」。二作目の「はだかのゆめ」では、自身の生い立ちや高知で暮らして見えてきたこと、さらに自らの祖父や地域の年配者たちに行った取材で得られた「地域のディープな部分」もシーンに落とし込んでいる。

はだかのゆめ

はるねこ