土佐に息づくさまざまな職人ワザ。
伝統の傍らに、 常に新しい展開があることも、 土佐らしい特徴の一つだ。
今回は、造船所をテーマに、 土佐の業を探訪!
職人技と最新技術を持つ船のドクター
奈半利町の「籠尾ドック」が誕生したのは、いまから51年前。初代の籠尾傳さんは、元々マグロ漁船の機関長としてエンジン整備を手がけていた人物だったという。開業当時は、マグロ漁船はもちろん、魚梁瀬杉の運搬船の修理・点検も行なっていた。
現在、三代目を務める籠尾寿仁さんのモットーは「次の出航までの限られた時間でベストを尽くすこと」。とりわけ、寿仁さんにとって船舶は患者のような存在で、例えば、漁の操業中でもエンジンの異変が分かるように、回転数や機器の温度、圧力といった、さまざまなデータを収集できるシステムも開発している。代々受け継ぐ職人技に、最新のデジタル技術が合わさり、港の未来を明るく照らしている。
エンジンをバラした時の状態確認、ピストンの大きさなどの計測、メインエンジンとプロペラとを繋ぐ芯出しなど、0.01mmの仕事を要求される作業の際に活躍する計測器具は、籠尾さんにとって必要不可欠なもの。
修繕後、プロペラの回転数に対してエンジンの温度や圧力が正常かを確認するための試運転。近くの海を1時間~4時間ほど走る。
「船の修繕作業中、滞在する船員たちがゆっくり休めるように」と用意したドックハウス。一人ひとりが寛げるようにと全室シングル。
遠洋にいる船の機関データを管理するため、IoT技術を取り入れたシステムを開発中。成功すれば、船員の負担軽減にもつながる。
船にとって大切なプロペラは、ひとつずつバラして研磨作業を行う。その後、亀裂、歪み、損傷がないかを検査する。