土佐の業 日々脈々【造船所】「宮崎 敏さん」

土佐に息づくさまざまな職人ワザ。

伝統の傍らに、 常に新しい展開があることも、 土佐らしい特徴の一つだ。

今回は、造船所をテーマに、 土佐の業を探訪!

宮崎造船所

地域産業である漁業を支え続ける

 室戸市の「有限会社宮崎造船所」は、大型の定置網や大敷網で漁をする大敷組合をはじめ、地元のさまざまな漁師たちにとって、なくてはならない存在だ。戦中から造船業に携わってきた造船所で、現在は宮崎敏さんが三代目を務めている。最盛期には船舶の新造も手がけていたものの、近年では主に長く使い込まれた船の修繕や改造などを引き受けている。敏さんのこだわりは、船舶の設計者だった経験を活かし、最終的な船型や重量を計算に入れながら、船主の要望に沿った、より良い船に仕上げていくこと。修繕に繊維強化プラスチック(FRP)を使うなど、できる限り使用可能年数を長く、漁師たちが安全に使える船を送り出している。地域の産業である漁業を支え続けていく。

宮崎造船所

小型ボートから漁船まで、幅広い船舶の修繕や改造を引き受けている。地元・室戸市はもちろん、高知市や黒潮町などにも自ら出向いて、船体の修繕を行うことも。

宮崎造船所

工場はもちろん、現地で直接メンテナンスや修繕なども行う。船の甲板や操舵室など、船着場で船に乗り込んで作業している。

宮崎造船所-06

船のパーツは工場で仕上げて現地で取り付ける。上の写真は10tほどの船の船首部分に設置する「バルバス・バウ」。船の造波抵抗を緩和させる。

宮崎造船所-05

船体の修繕などには、プラスチックに繊維を加えて強度を高めた複合材料(FRP)を使用している。

宮崎造船所-内観

ホイスト式天井クレーンを備えた400坪ほどの工場を併設。こちらでは、主に船体の補修などを行う。