土佐おたからレシピ「ぼっかけ汁」

とさぶし41-ぼっかけ汁

今回のレシピ/ぼっかけ汁

(場所)大月町柏島 (旬)通年

柏島の「ぼっかけ汁」は、ヒラアジやムロアジをはじめ、ウルメイワシなど、地元で水揚げされる青魚を使う。多様な魚種が水揚げされる地域ならではの、応用が効く漁師めしだ。

船員たちをねぎらう

船主の妻が手がけた 伝統の漁師めし

 高知県西部にある柏島は、抜群の透明度を誇る美しい海で有名。漁師町としても知られ、竹などの棒にバスケット型の網を付けて魚を引き上げる「棒受け網」という伝統漁法も残されている。そんな柏島に伝わる漁師めしが、こちらの「ぼっかけ汁」。棒受け網の漁から帰った漁師たちのために船主の奥さんが作った魚料理で、棒受け網が「ぼけ網」とも呼ばれていたことから、この名前になったという。その日の漁の成功を祝う漁師たちの宴会の席をはじめ、ご飯にかけたり、うどんやお餅を入れたり。レシピを継承する島本さんは、「船によって甘さやしょっぱさが違うことも特徴やったね」と話す。現在は、寒い冬に暖を取るため、「今日はぼっかけやろうか」と、仲間内で楽しんでいるという。

ぼっかけ汁

▶︎用意するもの(4〜5人前)

アジ・・・・・・・・7、8匹
干し椎茸・・・・・・5、6枚
かんぴょう・・・・・・・1本
ごぼう・・・・・・・・1/2本
豆腐・・・・・・・・・・1丁
ネギ・・・・・・・・・・2本
干し椎茸の戻し汁・・・500ml
砂糖・・・・・・・・好みの量
酒・・・・・・・・・好みの量
醤油・・・・・・・・好みの量

手順1/新鮮なうちにアジの皮を剥ぎ、頭、内蔵、背骨を取り除いて、フードプロセッサーやすり鉢などで、小骨ごとすりつぶしてミンチ状にする。骨が残る場合は、包丁の背で叩いて、舌触りを良くしておく。

手順2/あらかじめ水で戻しておいた干し椎茸とかんぴょうを、一口大にカットする。この時、干し椎茸の戻し汁は捨てずに、別の容器へ移しておく。

手順3/干し椎茸の戻し汁を、大きめの鍋に入れて煮え立たせる。鍋が沸いてきたら、干し椎茸とかんぴょうを投入し、ひと煮立ちさせる。

手順4/アジを入れたすり鉢へ、煮立った鍋の煮汁を入れて、ダマにならないように身をほぐしながら混ぜる。煮汁の熱で火が通り身が細かくなったら、鍋に入れて混ぜる。

手順5/砂糖、酒、醤油の順番で、好みの味になるよう調味料を加えていく。家庭や船によって塩分や甘さが違うので、自分の好みでOK。うま味調味料を加えて味を引き締めても良い。

手順6/味が整ったら、豆腐をさいの目にカットして鍋に投入。火が通ったら、炊き立てのご飯を入れた器に汁をかけて、小口切りしたネギを乗せたら完成。ご飯は食べずに、汁だけを食べるのもあり。

ひとくちメモ

調味料の量が「お好み」なのは、家庭や船によって塩分の濃度や甘さの好みが違うことが当たり前だから。いつも船の上にいる船員たちには、甘めの味付けが好まれることが多かったが、「こうでないといけない」という分量はない。

まだまだある!

さつま汁

カツオ節からダシを取り、島にあるもので作られていた鵜来島の郷土料理。宿毛市の沖合いにある鵜来島では、カツオの一本釣りが盛んだったことから、親しまれていたという。

 【どろめの塩辛

南国市に伝わる、どろめとしょうゆの実で炊いて作る塩辛。一日に何回も地曳き網を引く漁師がご飯を食べに帰れないことから、ご飯にのせるだけで食べられるので大活躍だった。