ファンも多い「仁淀ブルー」の人気スポット・中津渓谷。 そこで初のキャニオニングツアーが始まったのは令和2年のこと。 案内するのは、世界で経験を積んできたエキスパートのガイド。 まだ見ぬ非日常の光景が広がる、新しい「仁淀ブルー」で遊ぶため、 中津渓谷を訪れる冒険者を待っている。
世界で経験を積んだエキスパートが中津渓谷に
非日常の光景が訪れる者を感動させている
中津渓谷は、高知県有数の清流・仁淀川に注ぎ込む美しい峡谷。「仁淀ブルー」を楽しむことができる観光スポットとして有名で、虹を生む滝や水流が作り出した石柱があり、紅葉シーズンには整備された遊歩道をたくさんの観光客が歩く。令和2年、そんな中津渓谷で、初のキャニオニングツアーが始まった。案内するのは「仁淀アドベンチャー」の神澤識大さんだ。 神澤さんが川の魅力に目覚めたのは大学時代。オーストラリアで体験したラフティングをきっかけに、ガイドの道を志し、海外で経験を積んだ。国内では有資格者が少ない「CIC(国際キャニオニング協会)」の認定資格も取得。その後、高知県の吉野川で働きながら独立先を探していたところ、中津渓谷に行き着いた。「パッと見た時、『ここでやりたいな、かっこいいじゃん!』と感じるものがありましたね」。彼の心を動かしたのは、その独特な渓谷美だ。中津明神山を源流に、澄んだ水が流れる中津渓谷は、欠けにくいチャートの地層。豊富に流れる渓流の力を受け続け、峡谷の表面は滑らかに形成されている。確かに自然の造形物だが、まるでテーマパークの造形物のように、気分を盛り上げる非日常の感覚を味わうことができる。神澤さんは「これはいける」と感じた。
準備を進めながら、地元の仁淀川町が管理する旧校舎のシェアオフィスを借りると、中津渓谷でキャニオニングを行うに当たって、役場はもちろん、地元住民の元にも足を運んだ。そして、令和2年の3月には、最初のツアーを実施。その後はコロナ禍に入るが、天候に恵まれた最初の夏は大盛況のうちに過ぎていった。キャニオニングに苦手意識がある人でも安全に遊べることも喜ばれた。神澤さんは「中津渓谷は前半・後半で景色が変わってきます。最初は水に慣れたり、ジャンプして遊んだり。しかし、渓谷を抜けていくにつれて、より雄大な、非日常の光景に入っていけるんです」と話す。まだ見たことがない中津渓谷が、そこには広がっている。