特集3 土佐佐賀駅

鹿島様と〝カツオ神社〟のある町を、案内人と歩いてみた。

 1963年に開業した土佐佐賀駅。当時は中村行きバスの乗り換え駅だったが、鉄道が中村へ延伸した7年後からは無人駅となった。そして、1993年に佐賀公園駅、2003年には海の王迎駅の新しい駅も生まれた。土佐佐賀から浮鞭(うきぶち)までは太平洋が広がる爽快な沿線となっている。
 佐賀漁港は今も全国近海カツオ一本釣り漁船漁獲高第1位を更新し続ける第83佐賀明神丸の母港であり、カツオ漁は町の主要産業でもある。
 佐賀出身でかつて父がカツオ漁師だったという浜岡満さん(42)の案内で、カツオの町を歩いてみた。

案内人 地域おこし協力隊 浜岡 満さん

漁師と鹿島様

鉄道や国道から見下ろすのと、港へ下りて見るのとではずいぶん違いますね。※インスタグラマーも喜びそう。
 佐賀の名所といえば、湾内に浮かぶ小さな島、鹿島。島の中央には「鹿島様」が祀られていて、カツオ船が出港する時は汽笛を町中に響くほど大きく鳴らすんです。
 佐賀は遠洋漁師が多く、船は何か月も帰ってこないので、遠洋漁師の妻は何年経っても新婚やって言うてたなぁ。
※インスタグラマー:Instagramで写真を発信する人

土佐佐賀のカツオ一本釣り漁の船(19〜200トン)は19隻あり、うち4隻が明神水産。カツオ船団の漁師は年末年始を土佐佐賀で過ごすため、12月から1月の間、佐賀の港に停泊する。運が良ければ、日本一のカツオ船を見ることができる。

遊び場だった塩屋の浜

佐賀の自慢のスポット、塩屋の浜。きっと昔、塩を作ってたんだと思う。この浜はほんと昔から海水浴をしたり、流木とか貝殻拾いをしたりして遊んでいて、浜の向こうに見える丘を「佐賀のダイヤモンドヘッド」って呼んでた。
 あ、浜に川ができてる。岩がごつごつ出ててジオラマみたい。

御奉行さんが住んだ町

 ちょっと町を歩いてみようかね。
 迷い込みそうな小路だらけですね。
 昔はもっと入り組んでたけど、路が広くなったり、空き地とかできたり、空き家を駐車場にしたり、なんか広々してる。
 佐賀には明神地区や浜町地区、城山の下には会所地区がある。会所は、みんなが集まって会を開く「集会所」を設けたのがその名の由来とか。確か御奉行所跡の碑がある辺りが目印なはず。
 カラフルな祠もありますね!
 小さい祠に見えるけど、お盆には地域の人たちがお祭りをしているよ。豊漁や海上の安全を願う漁師が多いから、佐賀には祠や神社が多いのかも。


会所地区にある祠と碑。

謎の※アンダーパス

 駅の反対側もおもしろいですよ。でた! 佐賀名物アンダーパス。
 その上に家が建ってる!
 このトンネル、子どもの頃はもっと薄暗くて気味が悪かったけど、なんかきれいになって雰囲気がかわった。照明もついて明るいし。
 あのカーブミラーの高さ、おかしくないですか? 電柱注意の看板も低い。
 昔はこんな高さじゃなかった。新しい国道を造る時に、かさ上げしたんじゃないかなー。国道と言えば、信号のあたりが水神坂で、下の淵が見下ろせる。淵は青くて、薄暗くて、まさにカッパが棲んでいそうな雰囲気。
 そういえば、佐賀の民話に「エンコウ」がある。夏はカッパで秋は天狗になるというリバーシブル説も聞いたことがある。カッパ伝説があるところにはカワウソの目撃情報があって、その先の伊与木(いよき)川もよく目撃されてた。
※アンダーパス:道路の下をくぐる形の立体交差のこと。

まるでカツオ神社?

 あ、神社だ。境内にプロペラが! 本物? レプリカ?  
 ここは「天満宮」。看板には神社とも書いてあるね。プロペラは、明神水産が奉納したって記されているから、カツオ船のじゃないかな。秋の祭りにはここからが出て、港まで練り歩き、カツオ船団で鹿島まで運ばれる。手水舎(ちょうずや)にあるお清めの塩は地元の天日塩でしょう。


天満宮:さすが、カツオの町の神社。中にはカツオの絵や鹿島さんの絵などが飾られている。 毎年GWには天満宮の前を流れる伊与木川で、鯉のぼりならぬ「カツオのぼり」の川渡しが楽しめる。

次は〜、中村駅〜!