話題になったとさぶしのアレ、今どうなっちゅう!?
とさぶしで再発見・新発見して話題になった高知の文化のアレコレは、その後どんな展開が生まれている? 再取材・新取材を行い、それぞれの今をお聞きしました。
「土佐の酢みかん文化」が進化している!?
第32号で掲載!直産市や物産展で この特集が 活躍中!
「とさぶしの取材後も、高知の柑橘は盛り上がっています!」と教えてくれたのは、当時取材を受けてくれた百田さん。とさぶしに掲載された「土佐の酢みかんカタログ」の特集は、その後、県内各地の道の駅や直産市で掲示されたり、都市部で行われる物産展で活用されたりと、高知の柑橘カルチャーの拡大に一役買っている。
さらに百田さんいわく、若い世代の間で柑橘の話題が増えているそう。例えば、学生でありながら、園主として『フィンガーライム』の栽培に取り組む高校生がいたり、県立高知農業高校では、放送部が『土佐の酢みかん文化』をテーマに全国総文 祭に出場したり、県立幡多農業高校では「四万十ぶしゅかん」の普及活動が行われていたりと、土佐の酢みかん文化はますます進化している。こうした盛り上がりは、さらに「守り残していくこと」にもつながる。「『生きた文化財』といえる在来柑橘がカタログにできるほどたくさんあるのは高知県の大きな特徴。各家庭の酢みかんの使い方なども後世に残したい」と意気込む。
とさぶし第32号 (土佐の酢みかん)・・・果汁の酸味や果皮の香りを楽しむ柑橘類を「酢みかん」と呼ぶ食文化を特集。
百田さんが作成した「カンキツ品種の来歴パネル 」。安田町の「ゆずロードミュージアム」で展示されている。
「柑橘の研究は日進月歩しています! 高知の在来柑橘を守り食文化の継承活動を続けていきます。」
薬膳・和食文化研究家 百田 美知さん
香美市在住。「和食文化国民会議」をはじめ、県内外のさまざまな場所で和食文化の継承に努める。
「最後の住民」が集落をにぎやかにしている!!
第36号で掲載! 1人で集落を守る姿に たくさんの共感が!
「最後の住民が去った」と聞き、仁淀川町椿山(つばやま)地区にUターンした中内さんを取材したのは、とさぶし第36号のこと。「椿山を離れて暮らす方々がいつでも故郷に戻って来られるようにしたい」と語った中内さんの思いに、とさぶし読者だけでなく、多くのメディアを通じて共感を呼んだ。そんな中内さんは取材から4年近くが過ぎた今も、愛犬ラッシュと共に椿山にいると聞き、訪ねてみた。
「畑仕事に、はちみつの仕事に、昔と同じ暮らしをしていますよ」と振り返りながらも、とさぶし掲載後は、テレビやYouTubeの取材が来るといった反響があったことや、なんと新たな住民が椿山に加わったことなどをうれしそうに報告してくれた。
令和6年には、およそ30年ぶりに地元の神祭も復活。伝統の太鼓踊りや神楽も披露され、椿山を訪れた多くの人でにぎわう光景に「昔の椿山が戻ってきたようで本当にうれしかった」と胸の内を語ってくれた。
とさぶし第36号 (仁淀川の人と暮らし)・・・仁淀川の暮らしが時代とともにどう移り変わってきたのかを、そこに暮らす人を通じて紹介。
次なる目標は椿山に「花の名所」を作ること。桜やハナモモを植えて、未来の草花公園づくりに励む。
「りぐった(※)ものは何もない小さな山里ですが、それが椿山の「えいとこ」だと思っています。」
※りぐった…凝った
中内 健一さん
仁淀川町椿山地区で生まれ育つ。高校進学を機に離れた椿山に、令和2年にUターンした。
高知が誇る土佐酒が世界中で受賞ラッシュ!
第9号・第25号で掲載! とさぶしで 唯一2回特集が 組まれたテーマ!
とさぶしで唯一、2回特集が組まれた「土佐酒」が、さらにその勢いを増している。令和6年には、国内外で開催された16のコンテストでなんと103個ものメダルを獲得。とりわけ「2024年度全米日本酒歓評会」では、金賞率・金賞数共に「土佐酒が第1位」という大快挙を成し遂げた。
その背景には、過去の特集でも詳しく迫ってきたように、県全体で「技をなかまにする(※)酒造り」という土佐酒の酒蔵ならではの文化がある。同年夏には「川澤酒造」(いの町)も新たに仲間入りし、県内全19蔵が一丸となって「もっとう まい酒を」という情熱を燃やしている。 高知県酒造組合の竹村理事長は、「日本の『伝統的な酒造り』がユネスコ無形文化遺産に登録されたタイミングで、高知のお酒のレベルが日本一高いことが証明されたんです。土佐の食や人といった文化と一緒に、土佐酒を発信していかねば!」と力強く話してくれた。
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とさぶし第9号(香る土佐酒) 、とさぶし第25号(土佐酒入門)・・・第9号では土佐酒の「香り」の特徴を、第25号では国内外で土佐酒が「モテる」秘訣を取材。第9号に掲載された「高知酵母で土佐酒を分類した図」も大きな反響を生んだ。
令和6年も国内外で受賞ラッシュに湧いた土佐酒。7月には受賞したお酒を集めた試飲会も開催された。
「食・酒・人・宴は、高知が誇る最大の魅力!さらに多くの人に体感していただけたらうれしいですね。」
高知県酒造組合 理事長 竹村 昭彦さん
佐川町生まれ。司牡丹酒造株式会社で代表取締役社長を務める。郷土愛にあふれ、さまざまな土佐の文化に精通。