鬼や天狗と並ぶ有名な妖怪 実は義理堅くて律儀? 各地に伝説が残る「猿猴」
「猿猴」は、水中にいて人や馬を川に引き込む妖怪で、他県の河童(かっぱ)に相当する。江戸時代の土佐では河太郎とも呼ばれていたが、現在は愛媛県にも共通する猿猴の名称が主流になっている。本山町、本川村(現いの町)、十和村(現四万十町)では、盆の16日に川に行くと猿猴に引き込まれるいう言い伝えが残されている。 そのほかの地域では、猿猴といえば、川に引き込むことに失敗して今後は人命を狙わないと誓ったり、人間に助けてもらったお返しに魚を届けたり、薬の製法を教えたりとさまざまな伝説が各地に残り、怖い妖怪というよりは、義理堅い一面のある可愛らしい印象もある。四万十町に現存する薬屋では、かつて猿猴から授かったとされる薬が販売されていたという。長らく伝承されてきたであろうその薬、猿猴の思いやパワーが込められているかもしれない。もしかしたらまだ現役で猿猴が作っていたりして…。