旬と地域と人 土佐おたからレシピ「鮎の甘露煮」

鮎

今回の食材/鮎

(場所)仁淀川、四万十川など (旬)6〜10月頃

独特な香りがすることから「香魚」とも呼ばれる鮎。高知の豊かな川で混じり気のない苔を食べて育った鮎は雑味がなく、本来の旨味と香りを堪能できる。

皿鉢料理にも欠かせない 高知を代表する川魚 鮎を使った郷土料理

高知の河川流域には昔から川漁師が多く、天然の鮎は家庭でもよく食べられてきた。塩焼き、一夜干し、素揚げと、いろいろな食べ方がある中で、正月の皿鉢料理や祝いの席に並び、さらに神社にも奉納されてきたという特別な料理が甘露煮だ。  

春から夏にかけて土佐湾から県内の川へ遡上し、秋ごろになると産卵のため下流に下りてくるという高知の鮎。四万十川、安田川、物部川など、県内には有数の鮎が育つ河川があるが、とりわけ水質の良い仁淀川で取れた鮎は臭みがなく、フルーティな香りが特徴。それは甘露煮にしても損なわれることはなく、甘い味付けの奥に鮎そのものの豊かな風味を感じることができる。

鮎特有の姿形の美しさが見られるのも、この料理の楽しみのひとつだ。

鮎の甘露煮_メイン

鮎の甘露煮

▶︎用意するもの(5人分)

鮎・・・10匹
酒・・・大さじ2
みりん・・・大さじ3
ザラメ・・・1カップ弱
濃口醤油・・・大さじ4
薄口醤油・・・大さじ1
はちみつ・・・大さじ2〜3
塩・・・少々
水・・・適量

手順1/包丁で鮎のぬめりを取り、腹を2cmほど切り竹串で内臓を引っ張り出す。

手順2/鍋に並べて水を鮎が浸るまで入れる。この時、頭と尾を交互に置くと良い。

手順3/強火にかけ、調味料(水以外)を全て加える。沸騰したら中火にし、あくを取る。

手順4/半分蓋をして約1時間煮る。途中とろみが出てきたら、柔らかさを保つため水を入れる。

手順5/鮎が色づいてきたら火を止め、一晩寝かして完成。密閉して冷凍すれば半年は 保存可能。

ひとくちメモ

子どもの頃から、「鮎のおる川はスイカの匂いがする」と言われよった。仁淀川の鮎は臭みがなくて美味しいき、うちで作る甘露煮には、はちみつやザラメを入れてコクを出して、みんなぁに出しゆうがですき。

まだまだある!

【あゆせごし】

洗って腹わたを取った若鮎に塩をかけておく。酢で洗い細切りにし三杯酢で味付け。針生姜を乗せて完成。骨の柔らかい若鮎をまるごと刺身でいただく一品。

【あゆ塩辛】

鮎を細かく切り、塩を加えてなじませる。ふたを閉め3日に一度まぜれば約半年はもつ。鮎を内蔵ごといただける珍味で、日本酒ととても合う。