「昨今、若手漁師が増えている」という、高知県室戸市。その豊かな漁場で生きる、新しい働き方の漁師たちが活躍している。
雇用型漁業という
漁師の新しい働き方!
全国的に漁業の担い手不足が叫ばれる昨今、若手の漁師が増えている地域が高知県にある。東部の室戸市だ。ここでは、漁獲量に応じて収入が変動する独立型の漁師ではなく、毎月決まった給与を得られる雇用型の漁師が多い。彼らは「サラリーマン漁師」と呼ばれている。
例えば、地元の漁業者である「三津大敷」は、令和3年に組合から株式会社化。すべての漁師が、事実上のサラリーマンになった。働き方の改善も進んでおり、土曜日の定休に加え、GWやお盆、年末年始なども休み。こうした漁師の新しい働き方に、全国から注目が集まっている。
室戸の豊かな海に魅せられて…
そんなサラリーマン漁師、実は女性も活躍中。室戸市初の女性漁師である岩田梅佳さんだ。「マンボウやシュモクザメなど、毎日のように多様な海の生き物に出会えることが楽しい」と、漁師のやりがいを話す。水揚げなどの力仕事もあるが、みんながサポートしてくれるので、特に困ることはないそうだ。
一方、大阪府から移住してきた田中友吾さんは、「当初は朝が早く、夜型から朝型生活の切り替えが大変でした。今では大自然のなか、健康的な生活を送っていますね」と笑う。舵操作やクレーン操作の技術も磨き、一人前の漁師になりたい、と話してくれた。
pick up 1
大敷網のダイナミックな定置網漁!
三津大敷では19tや12tの船を保有。二隻の間に敷設した大敷網を徐々に引き寄せる、定置網漁は迫力満点!
pick up 2
陸では魚の選別や網の修繕作業
漁が終わったら、水揚げした魚を漁港で選別。そのほか、漁網の破れた部分や弱くなった部分の修繕作業なども行う。
海外で消費される高知の水産物
近年、土佐の海でとれた水産物が海外で消費される機会が増えてきている。これまで高知県の水産物輸出の主力といえば、ブリやマグロなどの養殖魚であったが、主なターゲット市場であるアジア新興国で天然魚の需要が高まっていることから、航空便を利用した鮮魚輸出も好調だ。また、加工品に関しても、海外需要を意識した「外商向け商品」の開発が各地で進んでいる。
例えば室戸市では、老舗かまぼこ店の商品が海外の見本市で話題になり、大幅な販路拡大に成功したという事例もある。デジタル化が進み、様々な形で高知県の多種多様な水産物が世界に向けてPRされる時代。地元水産物の新たな展開に期待が高まる。