支える人に会いたい〜中から支える人〜仙石好識さん

裏方の手作業が電車の長寿を支える!

古いもので70年以上にわたって走り続けているという路面電車だが、その長寿の秘訣は清掃作業にある。

仙石さんが見せてくれたのは「車体の顔」ともいえるボディの洗浄だ。霧状の鉄粉洗剤を吹きかけ、デッキブラシで地道にこすり洗い。細かな汚れも見落とさぬよう、低い場所は腰をかがめ、高い場所は安全帯を装着してゴシゴシと磨き上げる。

一見、車体の汚れを洗浄しているだけに見えるが、この作業こそが長寿の鍵を握る。電車のボディには走る際の摩擦で飛び散った無数の鉄粉が突き刺さっており、その鉄粉は放置しておくとさびになる。このさびが電車の劣化を加速させてしまう。しかもこの鉄粉は、機械では落とし切れない車体の奥にまで入り込むため、手作業を強いられるから厄介。

「体力も使うからこそ、送り出すときはやりがいを感じます。この時代に手作業かと驚いたけど、これやないといかんがですよ」。そんな裏方のガッツが電車の長寿を支えている。