土佐おたからレシピ「クジラ」

今回の食材/クジラ

(場所)北海道、宮城県、千葉県、和歌山県など (旬)10月〜1月
牛肉や豚肉が手に入らなかった時代に、広く流通していたクジラ肉。土佐湾での捕鯨が盛んだったこともあり、昔から高知ではクジラがよく食べられている。

とさぶし-くじら

貴重なタンパク源から希少な珍味へと

歴史を紡ぐ高知に根ざした食文化

 土佐湾で江戸時代から昭和初期まで盛んに行われた捕鯨の歴史は300年以上にわたる。年越しに大物(大きい物)を食べると縁起が良いとされ、大晦日が近づくと決まって魚屋の店頭にクジラが並び、「暮れの煮物」と呼ばれるクジラの煮物を食べた。
 今回ご紹介するのは、越知町の大平地区で食べられている「大平カブ」を使ったクジラの煮物。土の上に出ている部分が紫色をしていることから、昔は「紫かぶ」と呼ばれた郷土野菜で、鮮やかな紫色と風味の強さ、煮崩れしづらいという特徴があり、煮込み料理にぴったり。昔の人は、クジラの赤身が柔らかくなるまで、囲炉裏やストーブの上でコトコト煮込んで食べたという。心も身体もあたたまる冬にぴったりな郷土料理だ。

クジラと大平カブの煮物(2人前)

皮クジラ・・・・・100~200g
大平カブ・・・・・・大1/4個
ニンニク葉・・・・・・1束
水・・・・・・・・・・・500ml
砂糖・・・・・・・小さじ1
みりん・・・・・小さじ2
酒・・・・・・・・小さじ1
醤油・・・・・小さじ2
塩・・・・・・・ひとつまみ

手順1/皮クジラを2cm程の短冊切りにし、軽く水洗いする。

手順2/クジラと水を鍋に移し、沸騰したらアクを取り、弱火で身が柔らかくなるまで、30分程煮込む。

手順3/大平カブは皮をむかず、根の部分のみ包丁で取る。4等分し、厚さ1.5cm程のいちょう切りにする。

手順4/カブの葉とニンニク葉は3cmの長さに切る。

手順5/3に4と、砂糖、みりん、酒、醤油、塩を加える。鍋にフタをして、カブが柔らかくなるまで弱火で10分程煮込めば完成。

 

レシピ案内人/森下早苗さん

大豊町出身。結婚を機に越知町へ移り住むこと38年。越知町で文旦や山椒の栽培を行う傍らで、越知町の農協女性部の役員を務めている。

ひとくちメモ

牛肉や豚肉がほとんど流通してない時代、日常的に食べよったのがクジラ。昔は乾燥クジラが一般的やったけど、今はあんまり見かけんなってしもうたね。乾燥させたら、中が空洞になって身が膨らむき、プリッとした食感になるがよ。大豊町では、タケノコと一緒にクジラを煮る料理もあるがやき。

まだまだある!「クジラ」を使った料理

【クジラとタケノコの煮物】
大豊町で昔から親しまれている家庭料理。クジラ特有のうま味がタケノコによく染みて、ご飯やお酒と相性ぴったり!

【ハリハリ鍋】
クジラ肉と水菜を使った鍋料理。使用する部位は脂身や赤身など、それぞれ違った食感が楽しめる。脂が溶け込んだつゆも絶品。