産出される石灰石の質の高さと、伝統技術を受け継ぐ職人の技。
その両輪が揃う高知だからこそ、高純度の石灰が海外に輸出されている。

主な行き先
・韓国
・中国
・台湾
・インドネシア
・アメリカ
高品質は確かな技術から。
素材と技術が生む高知の石灰の力!
上質な石灰の産地として、全国的に名高い高知県。その石灰採掘の歴史は江戸時代にまでさかのぼり、「鳥形山(とりがたやま)」や「土佐山鉱山」など、今なお現役で稼働している鉱山もある。
「石灰」と聞くと、学校で使われる黒板のチョークやラインカーなどを思い浮かべがちだが、実はその用途ははるかに広く、古くは肥料や漆喰、近代では化学品・食品添加物・医薬品などにも使われており、特に「高品質」とされる石灰は、電化製品や食品、注射液や内服薬など、人々の暮らしに欠かせない製品の原料として活躍している。
さらに高知県は、石灰の産出量のみならず、高い技術力を誇る石灰加工業者も多いことで知られる。南国市の「井上石灰工業」では、なんと地域で250年以上も前から伝わる、「土中炉(どちゅうろ※1)」を用いた「塩焼き法」による石灰焼成を今も続けており、高純度・高白色度・多孔質・大粒結晶な「生石灰(せいせっかい※2)」を製造している。
この「塩焼き法」は、温度管理が非常に難しく、現在これを行う事業者は県内でも数少ないが、井上石灰工業では専門職人が製造を徹底管理することで、高い品質を維持。国内はもちろん、アジア諸国へも輸出され、医薬品・食品分野を中心に高い評価を獲得している。

土中炉での焼成は約2日間かかるため、熟練の職人が常に窯のそばに付き、窯の温度や石灰の状態を目と肌で確かめながら調整していく。

南国市稲生(いなぶ)の石灰鉱山跡。石灰原石採掘は平成3年に終止符を打ったが、一帯には現在も高い加工技術で活躍する企業が立ち並ぶ。

鉱山から運ばれてきた石灰石を土中炉で焼成。高温で熱せられることで灰色だった石灰石が真っ白に変化し、ここから加工が行われる。

焼成が終わった石灰は、生石灰となり、品質によって選別。用途に合わせて世界の市場へと運ばれていく。
世界を支える高知の石!
日本屈指の埋蔵量と質を誇る高知の石灰石鉱山
高知を代表する石灰石鉱山として知られるのが、仁淀川町にそびえる「鳥形山」。圧倒的な埋蔵量と、世界的にも評価される石灰の質の高さでその名を馳せる。
鳥形山は良質な石灰岩を含む「秩父古生層」に属し、埋蔵量は約5〜10億トンと推定され、日本でも類を見ない規模。昭和46年の開発開始以来、年間約1400万トンの採掘が続けられ、当時標高1459mだった山は、半世紀で約200m低くなったという。
真っ白に切り立つ採掘面は、「鳥形山森林植物公園」の展望台から望むことができ、その姿はこの地の産業の営みを静かに語っている。豊富な資源は、今後100年は採掘が続くと見込まれている。





