日本各地に残る怪談話
西土佐でも語り継がれる お菊の伝説
女の亡霊が夜な夜な「1枚…、2枚…、3枚…」と皿を数える怪談話「皿屋敷(さらやしき)」。日本各地に似た話があり、四万十市西土佐奥屋内(おくやない)にも伝説が残っている。
約300年前、伊予松山藩の武家に育ったお菊は、お家騒動を逃れて夫と共に黒尊川(くろそんがわ)沿いの集落・奥屋内にたどり着いた。しかし夫は病気にかかってしまい、お菊は庄屋の奉公を始めることに。その庄屋の甥であった鉄三郎がお菊の美しさに惚れ込んだが、拒否されたことに腹を立て、家宝の皿10枚のうち1枚を隠してお菊に責任をなすりつけた。無実の罪で責め立てられたお菊は、ある晩それを苦に、滝に身を投げて命を絶ってしまう…。
現在もこの滝は実在しており「お菊の滝」と呼ばれていて、滝へ向かう道端にはお菊をイメージした像が集落を見守るように立っている。お菊の無念の思いが晴らされていますように…。