おもてなし好きは、高知県の県民性!? 地元を走る観光列車「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」を駅で迎える 人たちに、そのやりがいを聞いてみた。
日下駅(くさかえき)
出会えた喜びを手づくりのおもてなし活動で
「乗客が下車しないのに、賑やかなおもてなし活動をしている!」と話題になったのは、日高村の「日下(くさか)駅」。
活動初期の令和2年頃から参加している坂本さん親子は、観光列車が駅に停車するわずか8分間のおもてなしを、参加者たちで文字通り「手づくり」してきたと話す。
「手や旗を振るだけだった活動が、やがて踊ったり、帽子やエプロンなど思い思いの衣装を自作して、お互いに身につけるようになったり、どんどん賑やかになってきましたね。乗客の方と目や表情で喜びを伝え合うから、とても感動するんですよ」。
日下駅のおもてなしに感動した乗客から「自分もおもてなしに参加したい!」と連絡をもらうこともあるという。
地元をPRしたい住民や鉄道ファンなど、いろいろな参加者が集まるコミュニティになっている。
西佐川駅(にしさかわえき)
「綺麗な駅で迎えたい」思いで約15年以上もおもてなし
地元で長年バス運転手を務めてきた安岡さん。駅に停車した際、草木の手入れが気になったことがあり、「佐川町に来るお客さんを綺麗な駅で迎えたい」と、今から約15年前より駅周辺の清掃活動を始めた。
現在は観光列車のおもてなし活動にも力を入れており、上りは「佐川駅」、下りは「西佐川駅」と2つの駅に毎週欠かさず出向いては、お手振りをしている。
「皆さんに佐川を好きになってもらいたい。沿線にお住まいの方はぜひお手振りをお願いします」。観光列車のおもてなし活動をしている地元仲間はたくさんおり、「チーム佐川」で一丸となって盛り上げている。
観光列車のおもてなし活動をする時は、青い法被に帽子、旗、そしてこの手作りうちわも必需品のひとつ。
ホーム横の植木を剪定中。長年、駅清掃美化などに協力したということで、JR四国から感謝状が贈られたことも。
窪川駅(くぼかわえき)
地元高校生が手掛けるお花でお出迎え
四万十町にある「窪川駅」の改札口で乗客をおもてなしするのは、赤と白の可憐な花を咲かせたベゴニア・センパフローレンス。この活動に一役買っているのが、地元の「高知県立窪川高等学校」の生徒たちだ。
地域リーダー養成コースに通う2・3年生が、毎年春と秋の年2回、大事に育てた季節の花を駅に寄贈している。「自然相手なので、苦労も多いです」と話す市川さんに賛同するように、「土と肥料を混ぜるときはスコップで何度も攪拌(かくはん)させて…。結構大変かも」と堀本さん。
駅をはじめ、地域の公共施設などにおもてなしの草花を提供する学校活動は、ずっと続けられてきたという。市原さんは「駅員さんが喜んでくれたり、花を見た人から『綺麗だね』と声を掛けてもらうことがやりがいです」と笑顔で話してくれた。
町内では、窪川駅のほか警察署や図書館にも地域リーダー養成コースの生徒が育てた花が寄贈されている。これから秋に向けて、パンジーや葉牡丹の生育を予定している。