公共交通の在り方が話題に上ることも増えてきた昨今。 鉄道を利用することはもちろん、地元の駅にもあまり馴染みがない方に、 知ったら行ってみたくなる高知の駅のおもしろさを紹介! 地域住民の生活や文化に寄り添ってきた駅の魅力を伝えます。
昔は荷物を 今は景色を 思い思いの目的をもって 人が集まる駅
自慢の特産品を 送り出していた
駅の目の前に広がる美しい海景が、鉄道ファンはもちろん、写真が好きな若い観光客からも人気の「安和駅」。令和3年には駅のすぐ隣に「集落活動センターあわ」が完成。列車を待つホームから花を見られるように手入れしたり、訪れた人にお茶の接待をしたり、観光列車の乗客には特産品の販売やよさこい踊りでもてなすなど、駅で過ごす時間が少しでも豊かになるような工夫がされている。昭和14年に開業し、当時はホームの両側が線路に面している島式ホームで、駅舎や官舎まで備えた比較的大きな駅だった。さらに線路脇には貨物の取扱所もあり、そこから輸送されていたのは、安和地区で採れたビワやスイカといった果物に、特産の竹。全国に知られる「虎斑竹(とらふだけ)」専門の地元会社「竹虎」も、当時は安和駅から多くの竹を出荷していたそう。現在でも駅には貨物取扱所の遺構があったり、島式ホームだった名残で線路が曲がって見えたりする。そんな昔の面影を見つけられることも、安和駅の醍醐味だ。
安和へようこそ!
安和地区の女性陣が中心となって行われている観光列車のおもてなし。地元住民の方との交流も楽しみのひとつ。
駅の目の前にある安和海水浴場は投げ釣りポイントでも知られる。ホームの斜め後ろに貨物取扱所の遺構がある。